第93話釣り勝負‼︎

樹君は勝負を諦めて無いんだ。どう考えても明らかに初めての上、センスが無かった。


「樹君の言う通りだ。君は樹君に手を貸す事は出来ない。ずるいと思うかい。けど、これは樹君が言い出した事だ。男の勝負だ。邪魔をしないで欲しい。とは言え、これじゃあ話にならない。こんな勝負は僕にとっても望んでも無い。不本意では無い。そうだな、君が僕達の邪魔をしなければいいさ。君の独り言位は聞き流してやろうじゃ無いか? どうするんだい新葉君。応援するくらいなら認めてやっても良いんだよ。樹君の負ける所を見たいならばね。それとも何か秘策でもあるのかい?」


朝陽君は新葉に挑発して来るのだった。


「新葉君。俺は大丈夫だ⁉︎」


樹君は何を根拠か豪語している。


「樹君。場所を移動して見よう。こっちの方が良さそうだ」


「うん。分かった‼︎」


樹君は素直に僕の言う事を聞いた。川の光って映っている所に魚の影が映った。


「新葉君。魚が見えた⁈」


「うん。暫く、ここで釣ってみよう。良いって言うまでは引かないでくれる」


「うん。分かった!」


樹君は言われた様に待った。


「新葉君。なんか引いているよ。餌に食いついたんじゃ無いか?」


「まだ、待ってて。良く喰らい付いてからだ。よし、未だ。引っ張って‼︎」


「おう!」


「重い。バシャバシャしてるぞ」


「樹君。こっちに引く様に持って来て、頑張って上げるんだ!」


「グイッ。ビシャ。バシャ。バシャ。ピチャン」


「新葉君。釣れたよ。初めて釣った。うっれシー」


「うん。樹君。やったね。大きいね!」


二人で盛り上がる僕と樹君。


「ハハハ。良かったね。釣れたね。おめでとう。だけど、僕達は六匹だ。後、七匹以上釣らないとね。けど、遅くならない様にしてね。暗くなるのはまずいからさ!」


朝陽君がそう言った。言葉は嫌味と取られても仕方ない内容だったが、いつもの穏やかで明るい笑顔でいる朝陽君に会えた気がした。


「知ってるわ。ほっとけ」


樹君は一言言い放つと、また釣り始めた。


「ねえ。所でさー。この釣竿どうしたの? こんな所にあったの?」


今更気付いた新葉は聞いて見る。

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