第92話樹君。君は何をやっているんだ。
新葉は朝陽君の側へ向かった。この時、まさかの朝陽君と樹君の勝負をしているなんて思っても見なかった。そうとも知らない新葉は朝陽君を探した。将磨君も探して見るが当然いる筈も無い。僕はクラスメートに聞いて見るが知らないと言う。陽斗君と壱平君の二人にも聞いて見るがやはり知らない様だ。僕は外に出て探しに行く。暫く探していると、幹に白い紙がぶら下がっているのを発見。紙には何か書いてある。それを読んで見ると、勝負する。朝陽と書いてある。朝陽君が書いた物だ。勝負。誰と、まさか樹君。何やっているんだ樹君。兎に角早く探さないと、この川を登って行けば良いのか? 木に覆われ川の水の音が聞こえる。こんな所に来たのは初めてだ。こんな所があったのかとマジマジと眺める。葉枝から木漏れ日が差している。まだ明るいが微風に葉枝があたり、心地良い涼しい風が吹いていた。僕はそこを真っ直ぐに登って行った。暫く、歩いていると、見知った声がして来た。
「ハハハハハハ。勢いが良かった割には釣れていないじゃありませんか?」
「くっ。くっ。まだ俺はこれから何だよ。黙っとけ、うるせ〜ぞ。気が散るわー!」
勢い声。やはり、樹君だった。
「樹君。君は何をやってるんです?」
「やー。新葉君。聞いてくれよ。俺と朝陽は今勝負しているんだ。俺が勝ったら、朝陽は俺の友達になる。だけどもよー。俺は釣りなんてした事が無い。全く俺様の言う事を聞かないんだ。魚どもは俺の事、ビビっちまっているみたいで俺の所にはさっぱり来ねえんだよ。なあ、新葉君。俺の応援してくれよ!」
樹君はもはや、ぼやいている。
「勝負って、釣りの勝負でしたか? 安心しました!」
新葉は少し、和み、顔には安堵の表情が流れた。
「樹君。君は無謀ですね。初めて釣りをするって言うのに一対二だなんて、正気ですか? 僕がお手伝いします」
新葉は樹君に加勢しようとする。
「いや。俺は一人でやる。そう言う条件だ」
樹君はそう言って新葉の協力を拒んだ。
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