八色運動会⑹

第90話なら俺と勝負しよう‼︎

こんな風に普通に話しているのは朝陽君にとっても、樹君にとっても初めての事だった。

「正直言って、皆んなが俺の力を借りたくながっている。俺は不服だ。皆んなの力になりたい」

「随分と正直なんだね？」

「お前も正直になれ！」

「僕は彼らが傷付くのを見たく無いだけだ」

「何故、そう思う？」

「妬み、耐えられると思うか？ クラスが光をモブに取られたんだぞ！ 許すと思うか？」

「お前。何怖がってんだ。何がしたいんだ。もう、あいつらは先に進んでんだよ。お前に進んだ足を止められると思ってんのか？ 後ろ向くな？」

「そんな無責任な事を言わないでくれ。いつか戻って来たくなった時の居場所を僕は残して置かなくちゃならない。きっと、戻って来る」

「いんやそれは無理だな。もう、あいつらは知ってしまったからな。居心地の良さって奴を！陽翔があいつらを裏切る筈が無い。あいつはそう言う男だ。それに俺が一番知っているんだ。もう、この居心地の良さから逃れる事は出来ないって！」

「僕はあんたとは違う。もう過ぎた事です！」

「なら、俺と勝負しようぜ！」

「何言ってるんですか？ 馬鹿な事を！」

「逃げる気かよ！ 男と男の勝負だ。お前が負けたら、俺の友達になる。俺が負けたら、お前の言う事を何でも聞く。それでどうだ？」

「喧嘩ですか？何ですか？ 僕は樹君に勝てる筈が無いじゃ無いですか？」

「おっと、やらない内から負け宣言かよ。お前らは二人でやれば良いさ。それに喧嘩じゃねーし。お前らが二人で掛かって来ようが俺は負けてやる気はねーぜ！」

樹君が挑戦状を出す。朝陽君は首を捻る。将磨君は青ざめた顔をする。

「喧嘩じゃ無いのなら、何にするんですか？ 」

「うんなもん分かんねーよ。公平にやれるもんが良いんじゃねーの。お前達がゆーりでも何でも良い。仮に今回俺が負けたとしても、結局はお前達はオレ達の仲間に入って来る事になるさ。陽翔や新葉君は本気でお前達を仲間にさせようと掛かって来るぜ。抜けられなくなるぜ！ でだ、釣りにでもするか？ それなら公平だろう」

「釣りですか？ 分かりました」