第88話樹君は出しゃばらないでくれ‼︎

新葉は自分一人でやると言い切った。樹君は不服そうな顔をしていた。しかし、この事で樹君に力を借りるつもりも無いし、樹君がそれを解決出来るとは思えなかった僕はこの話を終わらせた。お互いにこれ以上この事で仲違いする様では本末転倒だ。僕は思いっきりの笑顔を樹君に向けた。


「樹君。色々有難う。心配させてしまってごめんなさい。でも、樹君に元気を貰ったので僕は大丈夫です。有難うございました!」


新葉は樹君に感謝の言葉を述べた。樹君はそれ以上の口出しする事は無く、黙ってその場から離れていく。新葉は樹君の事を少し、気になりながらも、自分がするべき事を考える。この話はこれで終わりにしたつもりでいた新葉。だが、それで終わりにしないのがこの男の子樹君である。新葉の知らない所で事は進行して行った。この後、早速樹君は壱平君と陽斗君の元へと向かった。


「なあ。二人共今から、朝陽の所に行くぞ!」


樹君は二人に呼び掛ける。


「それは一体どう言う事ですか?」


二人は不思議に思い聞いてみる。


「どうもこうも簡単な事さ。俺が朝陽に言ってやる。二人と仲直りしろってさ。俺の言う事なら、聞くだろう。あいつなら!」


樹君はいつものドヤ顔で答える。


「貴方は馬鹿ですか?」


壱平君が返した。


「ババババ。バカ‼︎」


樹君は壱平君の返した言葉に動揺した。それもその筈、今までなら、樹君にびびっていた筈の二人にバカと罵られたのだ。動揺するのも無理も無い話だった。


「くっ〜⁉︎」


「それって新葉君に頼まれた事ですか?」


「そっ、そうじゃ無いけどさー。何でだよー」


「やっぱり、そうでしたか? 何で勝手な事をしようとするんですか? 樹君は出しゃばらないで下さい!」


「お前。出しゃばるって、何だよ。俺とやるってのか?喧嘩売ってんのか?」


「殴りそうな勢いですね。もはや、新葉君に牙を抜かれた樹君など怖くも有りません。僕には朝陽君が付いていますから!」


壱平君は強気で言い放った。これには流石の樹君でもタジタジであった。


「うぐっ」

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