第86話新葉君ごめんね。それでも私は………………!

僕は今一人で思案していた。勿論、朝陽君達四人の仲直りの事をだ。簡単には行かない事位は重々承知している。誘うだけなら、何度もそれぞれが行なっている。それぞれが失敗に終わっていた。だからこそ、慎重に成らざるを得ない。最初に会った時の様なあのイメージのままで、仲直りをする事は無くなってしまった今、思案にふけ行っている。


「新葉君。ごめんね。私が追い込んじゃったよね。それでも私は………………⁉︎」


一人で耽っている新葉の元へ渚ちゃんが来たのだった。渚ちゃんは何だか申し訳無さそうにしている様に見えた。


「うん。分かった。渚ちゃんが思っている様な結果が出せるかは分からないけどやれるだけの事はやって見るつもりだよ」


新葉は渚ちゃんに笑顔を向けていた。内心では今だに施策を思い付かずにいる事実を掻き消すかの様に笑顔で答えたのだ。これで尚も追い込まれてしまった。


「不思議なんだよね。新葉君ってさー。いつの間にかシャラっと、見れる筈の無い景色をガラって変えてしまうんだよね。今までだって、ずっとそうだった。いつもびっくりさせられてたんだよ。いつも何かが変わって行くんだよ。新葉君はあんまり自覚無いよね。だけど、私は知っているよ!」


渚ちゃんは話し出す。今までに聞いた事の無い発言だった。だけど、渚ちゃんは何を言ってるんだろう。僕は何一つとして何もしてはいない。上手く行かせた事も無い。そうだ、僕は何一つとして成し遂げていないんだ。運動会の時だって、頑張ったのだって、白組皆んなのお陰だし、お兄ちゃんのお陰だ。それなのに僕はお兄ちゃんが宮内結愛ちゃんを生徒会長にさせたがっていた時だって結局は僕の力不足で協力しても駄目だったし、お兄ちゃんがあんなに海斗君を助けたがっていた時だって、何の慰めも出来なかった。今だってそうだ。あんなに仲の良かった朝陽君達四人を仲違いさせたきっかけも僕だ。全て僕は何一つ成し遂げてはいない。なのに、渚ちゃんは何故、こんな僕を信じてくれるの。頼ってくれるの?


「新葉君。ごめんね。私何言ってるんだろう。じゃあ行くね」

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