第85話渚ちゃんからの宿題。

陽奈ちゃんから、僕に振ってきた無茶振りな押し付け。僕に視線が集まる。僕は内心心臓バクバク。ジャンルが違う。何でも解決すると言うのは無理な発想。期待する視線に変わって行く。これはまずいと直ぐに断ろうと声を発しようとした瞬間。


「お願い。新葉君。二人の為にも力を貸してあげて!」


渚ちゃんからの頼み。これだけは断れない。渚ちゃんからの頼みは何があっても断れない。断れば、嫌われちゃうかも知れないっと言う僕自身の縛り。男として頼りにされていると感じる今、断りたく無い気持ちになる。しかし、どうする。引き受けるべきなのか? けれども施策が無い。


「「「頼むよ。新葉君」」」


男の子達からも頼まれた。詰んだ。もう逃れられない。


「うん。出来るだけの事はやって見る」


新葉は頭を下げて返事をする。返事をした物の何も思い付かない。もっと簡単に事が進むと思っていた。だが、逆に溝が深まるばかりだった。とは言え、このままにする訳にも行かない。仲の良かった四人が分裂した。完全に四人に亀裂が生じてしまったのだ。


ここまで拗れて仕舞うと簡単に友達に戻るのは難しい。それでもせめて、朝陽君達を僕達の仲間に入れなくとも、壱平君と陽斗君は両方の友達として貰う様に認めて貰える様にお願いしたいと思う。それだけは僕がしなければならない事だ。


「新葉君。有難う。君にそう言って貰うととても心強いよ。僕がこんなに不甲斐無くてごめん」


陽翔君は謝りながらも少し、顔は安藤した様に見えた。


「有難う。二人と仲直りしたいと思っていたんだ」


壱平君もニコニコして喜んでいる。


「僕達になんか出来る事があったら、言っておくれよ。喜んで協力する」


陽斗君も喜んでいる様だ。


「有難う。その時はお願いします」


新葉は決心はした物の安易に引き受けてしまった為、良い策はなかなか思い付かずにいた。取り敢えず、朝陽君の誤解を解き、二人は友達として、仲直りさせる方法だけは考える事にした。後の事は後で考えるとして、それだけは実行するしか無いのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る