第84話陽奈ちゃんのダメ出し。

陽翔君やジューフレンメンバーは壱平君と陽斗君の二人を待っていた。二人は戻って来た。肩を落とし、その表情は暗い物だった。みんなで二人の話を共有する。


「あんた達ねー。友達でしょー。何やってんのよー。折角、ジューフレン復活のチャンスだったって言うのに!」


その反応に口火を切ったのが意外にも陽奈ちゃんだった。一見、朝陽君達のメンバーの事など考えてもいない様に思えた陽奈ちゃんが、仲直りしていないメンバーを怒るなんて二人は全く考えておらず、目を真ん丸くしていた。


「陽奈ちゃん。それはいくら何でも言い過ぎだよ」


陽奈ちゃんの言葉を制したのは心春ちゃんだった。


「何よ。本当の事じゃ無い。二人は本当に友達って言えるのかしら?」


陽奈ちゃんは心春ちゃんに言い返す。


「なあ、待ってくれ。僕が不甲斐無いからこうなった。壱平君も陽斗君も僕の代わりに行ってくれた様な物だ。返って悪かったと思っている。最初から僕が行くべきだったんだ。二人を攻める様な事は言わないでくれ。陽奈ちゃんも心春ちゃんも歪み合う様な事はしないで欲しい。全部僕が悪かったのだから!」


陽翔君は顔を歪め、落ち込んだ様に下を向いて謝った。


「ああ。もう。陽翔君のせいじゃ無いでしょう。今日駄目でも明日は大丈夫かも知れないでしょう。この二人だって、最初は誤解してあんなに嫌がっていたのに今はこうして皆んなと仲良くしているんだから、朝陽君だって、きっと誤解さえ取れれば直ぐに仲直り出来るんじゃ無いの?」


陽葵ちゃんが纏める様に話を進めて行く。流石に面白クイーンだ。暗い話を明るくして行く。だが、それで終わらないのが陽奈ちゃんと言う女の子だった。


「ねえ。新葉君には考えが無いの? ドッジボールの時の様にいざって言う時に解決策を考えて見なさいよ。元々あんたが朝陽君達を引き込もうとしたんでしょう。責任を取って何とかしなさいよね!」


全くの無茶振りだった。突然、僕に振って来た陽奈ちゃん。僕は唐突過ぎて答えを出せずにいた。

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