第83話なんて奴だ。やり方が汚い奴だ。

壱平君に加えて陽斗君も僕達の仲間に加わった。後は朝陽君と将磨君が加わってくれればジューフレンの復活となる。新葉はこの成り行きに期待を持った。しかし、そうは簡単な物では無かった。


「なんて奴だ。やり方が余りにも汚過ぎるだろう。一人一人攻めて行って、狩って行く。おもちゃにしたいのか? ハイエナか? いずれにしてもこんなやり方はずるい。絶対に許せない。君達二人も騙されるな!」


朝陽君を取り込む何処ろか憤慨させてしまったのだった。


「朝陽君。誤解なんだ。陽翔君は印象通りの良い子なんだよ。僕があの場から逃げ出しさえしなければ、話し合いをしていたらこんな事には成らずに済んだ。僕のせいだ。あの時、友達になるチャンスを逃してしまって申し訳ない。だからこそ、みんなで友達になりたいと思っているんです」


壱平君は心からあの時にしてしまった事に後悔している。


「壱平君は直感で逃げ出した。君の直感は正しかったんだ。それが君の本音なんだよ。今はモブの僕達が陽翔君と友達になれて天狗になっている。だから、気付いて無いかもしれないけど、そこにいる重みがいつかは気付いてきつくなって行くだろう。モブを嫌でも自覚させられる筈だ。だから、目を覚ませよ。壱平君。君は思わないか? 一番警戒している奴を取り込めれば、後は芋蔓式に取り込める。そんな風に思っている様な奴なんだ。そんな人間だとは思わなかったよ。きっと、新葉君の機嫌取りに僕達は利用されたんだ。他の学校から来た人と仲良くなっていれば、もっと信頼されて尊敬されるからな。奴はそれが狙いなのさ。分かったロー壱平君。だから、君が傷付かない内に手を引け。目を覚ますんだ」


朝陽君は本気でそう思って言っている様だった。壱平君は早く誤解を取りたいと思っている様だった。


「朝陽君。本当に誤解何だって、僕は無理なんかしてないし、陽翔君と友達になれて本当に嬉しいんだ。一緒にいて楽しいんだよ。今が一番充実しているって感じなんだ。朝陽君だって分かっているだろう。ジューフレンでいた時のあの居心地の良さ。今もその時のままなんだ。寧ろその時よりも楽しいんだ。君も僕達の仲間に又入っておくれよ!」


壱平君は懇願するも朝陽君は首を縦に振ってはくれなかった。

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