第81話陽斗君の不信感。

新葉の知らない所で大地君と陽太君が話し合いをしていた事は知らずにいた。そんな事を知らない僕達はいつものメンバーに加えて、新しくメンバーに加わった壱平君と仲良く話をしていた。だが、それを良く思わないのが陽斗君だった。それもその筈、陽斗君にして見れば、陽翔君から逃げ出した人物である。陽斗君は逃げ出した壱平君を追って、自分もその場から離れてしまったのだった。陽翔君から見れば、陽斗君も同じく逃げ出した人物になる。二人で逃げた事になっているにも関わらず、自分だけちゃっかり陽翔君と仲良くしていれば、飛んだ裏切り行為だ。怒りたくもなるだろう!


「壱平君。どう言う事なんだ。一番君が嫌がっていた筈だろう!」


陽斗君は廊下を一人で歩いている時に壱平君に罵倒した。


「あっ。ごめん。ごめん。近い内に陽斗君にも紹介するつもりだったんだ!」


「何言ってんの、調子に乗るなよ!」


「悪かったって、直ぐに誘わなかった僕が悪い」


「何考えてんだ。クラスでみんなからなんて言われてるか分かってんのかー。モブのくせに陽翔君を独占して良い気になってるって言われてるんだぞ!」


「何だよ。そんなの言わせて置けばいいだろう。そんなのただの嫉妬なんだからさ!」


「お前、もし、陽翔君がお前と友達になるのに飽きちゃったとか言われて離れてったらどうすんだ。それこそ、クラスメート達から、袋叩きの行為だぞ。それでやっていけんのかよ?」


「陽翔君はそんな人じゃ無い。一度会って見てくれ、いつものリーダーの優しい陽翔君なんだ。人を下に見たりしない。陽翔君も兄弟間で親の差別があったらしいんだ。だから、僕達に差別するのは嫌みたいなんだ。新葉君が口を聞いてくれたみたいなんだ。それに元々、朝陽君と友達になりたかったみたいなんだ。勿論僕達も同じに友達になりたいと思ってたみたいだ。けど、僕達は目立たない様にしてたでしょ。誘いづらかったみたいだ。機会があれば是非誘いたいと思ってたみたいなんだ。兎に角会うだけ会ってくれる。そうしたら絶対に分かるから、ね!」


壱平君は熱弁をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る