第80話僕の話をしよう。

陽太君はまだ納得していなかった様だ。


「結局、リーダーじゃ無いと、どうでも良いんだね?」


「僕の話をしよう。新葉君はね、元々は喘息持ちの子でさー。少ない人数の学年で一人抜けるだけでも寂しくなる。そんな学年の中であって、当然みんなが彼を大事にしようとするよね。僕らは面倒見ようとか、付き添おうとか、そんな感覚で接していた筈なんだ。だけど、それは思い上がりだと分かって行ったよ。いつの間にかそこにいるのが心地良かったんだ。一番体の弱い新葉君がいつの間にか一番頼りになる子だと自覚して行った。何だろう。頼りにして欲しいと思っていたのにいつの間にか頼りにしていたんだ。誰がリーダーとか、誰が頼れるかとか関係無くて、ただ、彼の側に居たくなる。側にいると楽しく思えるんだ。それは僕だけじゃ無い。皆んなそうだ。それがリーダーの資質じゃ無いとすれば何だって言うんだ。僕がリーダーと認めた子だ。それ以上僕を含めて、新葉君を軽く見ないでおくれよ!」


大地君は長々と皆んなの関係性を語った。


「そこまで言い切れる物は何なんだ。君にそこまで本気で言わせる彼は一体何者なんだ。興味が湧くね。樹や陽翔君をその気にさせる彼とは一体何なんだろうね。益々彼に興味がある。まあ、ぼちぼち見定めさせて貰おうかな!」


陽太君は今度は新葉に興味を持った様だった。


「そうだね。新葉君はさ、普通の子に見えるのかもしれないけど、君もあの光景を見たら、きっと違って見えると思うよ。彼は奇跡を起こす子だからね。何の変哲もない子が奇跡を起こしたら、きっと釘付けになるだろうね。君はまだその事を知らなくても良い。その内、嫌って言う程分かる日が来るからね。何だろう。樹君も陽翔君も直感で察したんだと思うよ。今は彼らにも分からないのかもだけど、それを知る事となると思うよ。じっくりと観察して置いてくれて良いよ。楽しみにしていて欲しいな!」


「随分な自信な。まあ、良いさその奇跡とやらの正体を暴いてやるさ。僕もその奇跡とやらを見てみたい物だね。気長に待っててやるよ。大地君。悪かったね。呼び出したりして、もう話は終わりだ。じゃあ」

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