第77話僕も同じだ。
クラスメートの男の子は青ざめた顔をして立ち竦む。壱平君は手を挙げ、
「先生。陽翔君が怪我をしたので、僕が保健室に連れて行きます‼︎」
壱平君はそう先生に告げると、陽翔君の傍に寄り添った。二人は保健室に向かった。
「どうしてですか? 僕なんか庇って、怪我なんてするんです。それにクラスメートの子も青ざめていましたよ。あなたが僕を庇って怪我をするなんて、駄目ですよ」
壱平君は保健室に向かう途中で話をした。
「そうかな。僕は君と友達になりたいと言ったね。僕は君が危ないと思って体が勝手に動いた。これってどうだろうな。本心だとは思わないか? 友達が危ないって、危険を感じた時、助けたいと思う事だってあるだろう。無論助けたくても友達でも助けられない時もあるだろう。時と場合によるだろうけど、僕は君を庇えて良かった。怪我しなくて良かったって思ったのは事実だ。それじゃあ駄目かな⁈」
陽翔君はそう言って、話を返した。保健室に着いた二人。先生に診てもらう陽翔君。先生が消毒を始める。
「何があったの。転んだの? まさか喧嘩なんてしてないわよね?」
先生は怪我の理由を聞く。
「僕がミニバスやった時、倒れそうになった時、陽翔君が僕を庇って怪我をしたんです」
「そう。クラスの委員長さんね。庇って怪我をしちゃったのね。痛かったでしょう!」
「大丈夫です。僕は男の子ですから!」
「あははは。そっか。うん。そうね。男の子だもんね!」
先生は手際良く、治療をした。
「うん。これで大丈夫。気をつけるのよ!」
治療の終わった陽翔君。二人は速やかに保健室を出た。
「陽翔君。すみませんでした。僕を庇って怪我しちゃって! 僕は運動が苦手で、鈍臭くて、いつも人から比べられるのが嫌で結構情け無いんです。僕、陽翔君から声を掛けて貰えるなんて、何て言うか不思議で…………⁇」
「僕も同じだ。同じなんだ。皆んな、僕の事を誤解している様だけど、僕にはね、二つ上の兄がいるんだけど、兄は頭も良いし、運動も出来る。いつも僕は両親から兄と比べられて育ったんだ。情け無い奴だろう。改めて言う。こんな僕で良かったら、僕と友達になってくれるかい⁈?」
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