第76話君は僕の事を全然分かっていない!
陽翔君はため息を吐いた。
「大翔君。君は僕の事を全然分かっていない!」
陽翔君は少し、がっかりした様だ。
「分かりたくも無いですよ。僕の方が悲しいですよ。情け無い」
大翔君は首を横に振った。
「僕はね、君が思っている様な人間じゃ無いんだ。本当に情け無い人間なんだ。それに僕は彼等と友達になりたいと心から思っているんだ。大翔君にだけは分かって欲しかった。一緒に仲良くなって欲しいんだよ!」
陽翔君は大翔君に協力を求める。大翔君はそのまま黙り込んでしまった。沈黙してしまった大翔君を見て、陽翔君は少し、寂しそうに見えた。
暫くの間、陽翔君も朝陽君達を誘う事も無く、日常を送っていた。ある日の事、
「壱平。邪魔。危ない。ドガッ」
体育の授業でミニバスをしていた時の事、クラスメートの男の子と壱平君がぶつかってしまった。後ろに下がったクラスメートの男の子が壱平君に直撃する。壱平君は吹き飛ばされる様に前につんのめってしまった。
「危ない。ドガッ。ドンっ!」
庇った陽翔君が肘と膝を擦り剥いて仕舞う。慌てるクラスメート。慌てる壱平君。壱平君が陽翔君に駆け寄り、手を伸ばして陽翔君を起き上がらせようとする。
「ドンっ」
壱平君を突き飛ばすクラスメート。
「何て鈍臭いんだ。お前のせいで陽翔君が巻き添い食っちゃったじゃ無いか?どうしてくれるんだよ」
クラスメートの男の子は壱平君に怒鳴り付けると直ぐに陽翔君に謝罪する。
「すみませんでした。陽翔君。なんて詫びれば良いか、あいつが鈍臭いせいで陽翔君に怪我をさせる羽目になってしまって、本当にすみませんでした」
壱平君は立ち上がり、下を向いてしまった。クラスメートは陽翔君に手を差し出して起き上がらせようとする。だがしかし、陽翔君は差し出された手を取ろうとはしなかった。
「君は謝るべき人物を間違ってはいないだろうか?」
クラスメート達は自分達の耳を疑った。
「僕はさー。自分で怪我をしたんだ。確かに壱平君を助けようとしなければ怪我をしなくて済んだ。僕は勝手にした事で誰も悪くは無い。誰かが謝る様な事では無いんだ。なのに何故壱平君に当たる様な事を言うんだ」
陽翔君は一人で立ち上がった。
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