壱平は訳も分からず、あの場から逃げ出していた。それを追った陽斗は壱平に追い付いた。

「壱平君何故あの場から逃げ出したんだ。陽翔君にどう思われたんだろう。陽翔君から声が掛かるなんて滅多に無い事だよ」

「僕だって、分からないさ。何だか居た堪れなくなってしまったのだから、仕方が無いだろう。何故逃げ出したなんて自分でも分からないんだから、咄嗟に反応してしまったんだよ。僕等モブの宿命の様なもんさ！」

壱平はどうして良いか分からず、困惑し、判断が出来ずにいる。

「ごめん。分かるよ。僕もあそこにいるのは居た堪れなかったんだ。逃げ出したくなるよな。モグラが地上に出た時、余りの眩しさに思わず頭を引っ込めたみたいな‼︎」

「何だ。その例え！」

壱平は陽斗の言葉で少し、落ち着いた様だ。話を終えさせた朝陽が二人に合流した。将磨も仲間に加わる。

「壱平君。僕は君を傷付ける者は誰だとしても決して許さない。君が嫌なら、陽翔君には二度と関わらない選択を選ぼう！」

朝陽は心強く言った。壱平は首を横に振って、合図した。

「僕は関わらないまでは言って無いです。ただ、びっくりしてしまって、逃げ出してしまいました。あの、陽翔君に声を掛けられたんですよ。もう、僕びっくりしちゃって何が何だか分からなくなっちゃって、頭が真っ白になってしまって、こんな事になっちゃて悪かったなって、陽翔君にあんな態度取っちゃって、僕どうしようって今はまずい事したなって、なんかすみません！」

壱平は自分がしてしまった態度を悔いる様な発言をした。

「壱平君は悪く無い。体がそうしたのならそれが君の正直な気持ちだよ。戸惑った気持ちが体に出たんだろう。学校に行きたく無い子が急にお腹が痛くなるみたいなそんな症状に似ているのだろう。安心して欲しい。僕等は僕らで安心な所にいよう。無理する事は無いさ。僕等は友達だ。これ以上増やして気を使う事は無いさ。僕等は君の味方出し、友達だ。あっちはあっちで友達がいるんだ。僕達は僕達で友達していれば良いんじゃ無いかな？」

朝陽は全力で自分の仲間を守る事を決意した。