第71話僕達はこのままで⁉︎
友達二人が逃げる様に去って行ってしまった今。朝陽君は歯痒い思いをした様だ。
「僕は新葉君の顔を立てて、ここに来ました。話が済んだら僕はこれで失礼します。僕の友人はこの様な場が苦手な様です。なので、この様な誘いは結構です。僕らに取って静かに過ごす生活が性に合ってる様です。それでは僕はこれで二人の友人の元へと向かいたいと思います!」
朝陽君はそう言って、立ち去ろうとする。
「なんか、悪かったね。時間を取らせてしまったね。どうぞ、友人の所へ向かって下さい」
陽翔君がそう言うと朝陽君は頭を下げて去って行った。残された陽翔君は愕然としていた様だった。声を掛けるのも幅かれた。呆然としているのだった。
「新葉君。僕は相当嫌われている様だ。普段からチヤホヤされて有頂天になっているからなのかな?!」
陽翔君は断られた事で相当なショックを受けた様だ。
「ちっ、違いますよ。そうじゃ有りません。落ち着いて下さい」
新葉は彼らの事を良く知っているだけに完全否定する。彼等は陽翔君を嫌っていると言うよりも寧ろ逆だ。憧れているのだ。その眩しい世界に付いて行けないだけなのだ。
「新葉君。慰めてくれて有難う!」
陽翔君は完全に誤解している様だった。そりゃあそうなのかも知れない。友達ありきで生きて来た子なのだ。断られたのが初めてだったんだろう。僕はお兄ちゃんの事で友達作りの困難さを間近で見て来ているからよく分かる。樹君の事も見て来ているからそれも良く分かるんだ。僕は恵まれている。最初から元学校の子達と仲良くして来たから、陽翔君の気持ちもよく分かる。朝陽君達の事情を知らずにいたら、僕もさっぱり分からずに困惑していたに違いない。
「陽翔君。皆んな、突然の申し出に戸惑っているだけです。大丈夫です。それは僕が一番知っています」
新葉は釈明に追われた。陽翔君は少し、落ち着いた様だ。
「新葉君。僕は少し、焦り過ぎた様だ。そうだよね。少しずつ、彼等と仲良くして行こう」
陽翔君は決意した様だった。
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