第70話何が違うんだ。

僕は朝陽君の言葉に言葉で返した。


「何を言っているんだい?」


「君は何故来た!」


「陽翔君が君達に会いたがっているんだ!」


「嘘だ。そんな筈が無い。陽翔君が僕達に会いたがっているって、そんな事がある筈無いだろう。僕達モブと会いたいだって、有り得ないだろう?」


「嘘じゃ無い。朝陽君達と友達になろうとしてるんだ!」


「新葉君。僕達を揶揄いに来たのかい。それとも同情かい?」


「朝陽君。そんな訳ないだろう。陽翔君の本心だ!」


「まだ言うのかい。僕達はモブの世界の人間だ。輝いている子達の世界で僕達が生きて行ける筈が無いだろう。陽翔君が僕達に会いたいって、そんなの信じると思うのかい。どうせ君の事だ。お願いして仲間に入れてやってくれとでも頼んだんろう!」


「そんな事は絶対に無い。本人に聞いてくれれば分かる。取り敢えず会って欲しい。会って本人から話を聞いてくれれば分かる筈だ!」


「ああ、話は聞くさ。会えって言うなら会う。だって、リーダー格の陽翔君に来いって言われたら、行くしか無いだろう。行くに決まってる。だけど、行くだけだ。会うだけだからな!」


朝陽君は怒った表情で言い放った。朝陽君は仲間の三人を僕は陽翔君を連れて来た。仲間の三人は陽翔君を前に緊張していた。朝陽君はそれを見て、やるせなさそうだった。実の所。本当はこの時、陽翔君も緊張していたのだった。


「あの。えっと、何て言うか。僕の事は知っているよね。僕は黒崎陽翔。同じクラスだったけど、あまり話した事が無かったね。僕の事知ってるかな?」


「……………………!」


皆んな、押し黙ったままで反応が無かった。


「えっと、なんか言ってくれると嬉しいな。僕は嫌われてたりするのかな?」


陽翔君は皆んなに言葉を投げ掛ける。それでも、四人は何も言わない。困り果てる陽翔君。沈黙の末に痺れを切らした真田壱平君は逃げる様にその場から去って行った。それを追う森沢陽斗君。二人はその場から離れて行ってしまったのだ。

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