第62話もう一つの遠足。

岩波結愛いわなみゆあちゃん。クラスの纏め役の様な存在であるこの子は気さくな子だった。控えめだった十和ちゃんと香子ちゃんを取り込み、あっという間に笑顔にさせた。同じく、黒崎陽翔くろさきはると君。クラスの纏め役の様な存在である陽翔君で冴も片岡朝陽君の印象は良く、友達になりたいと思っていたと言う。お互いのすれ違いで、こんな風に関係性が良く無いのは余りにも勿体無いなと、思った。それとは別にすれ違いを解消すれば、仲良くもなるんだと希望が見えて来た。僕達は何れ、朝陽君達を交えた友達となれるのではと期待したいと思う。


僕達はこうして遠足を楽しんでいる中、もう一つのストーリーがあった様だ。



もう一つの遠足。



これはもう一つの遠足の主人公であるC組藤間花菜恵ふじまかなえちゃんとG組前原愛美まえはらなるみちゃんのもう一つの遠足の物語りである。



「もう、香子ちゃん。何処行っちゃったんだろう。こんなに広い所で逸れちゃってどうしようかな!」


このお話はC組の花菜恵ちゃんと同じくC組の香子ちゃん。H組の宮森香子ちゃんとは同姓同名である。香子ちゃんと逸れてしまい、探している所から始まる。


「ここはどの辺だろう。C組の皆んなとも逸れちゃったし、香子ちゃん共会えないし、もう、私何やってるんだろう!」


私は困り果てながら、芝生や歩道などをてくてくと香子ちゃんを探しながら、歩いていた。暫く、歩道を歩いていると、何やら歩道の脇に並んでいる低木の脇から生えている草木から、


「ガサガサガサガサガサッ」


音が聞こえて来た。何の音だろうと恐る恐る見て見ると、そこには頭を上げた蛇がいたのだった。その蛇はたった今、落ちて来ただろうヒヨドリの赤ちゃんを飲み込もうとしていたのだった。親鳥が雛を助けようと羽をバサバサ動かし、雛を守っていた。


「キャー。やめて!食べないであげて〜!」


私は悲鳴を上げるが蛇が怖くてなす術が無かった。勿論、自然界は弱肉強食こんな事は当たり前の事で仕方がない事は分かっている。けれどもいざ、自分の前で襲われている雛鳥の親子を見捨てるのは嫌だと思った。


「待ちなさい。あっちに行くのよ!」


そこには同じ位の年の女の子が立っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る