第61話今度誘って見よう。
結愛ちゃんに誘われたと会っては二人は言う事を聞かない訳には行かない。おずおずと十和ちゃんと香子ちゃんは敷物を引き摺りながら、こちらへ向かって来た。二人は緊張しているのか、硬直してる様にも見えた。何も言わず、敷物を陽奈ちゃんの隣に置き、そこへ座った。借りた猫の様に黙って座っていた。場違いの場所に来たとばかり、正座して俯いていたのだった。
「そんなに緊張しないで、とって食ったりしないから!」
などと結愛ちゃんは冗談ぽく言って見るが、反応は石の様に固まっている印象だった。流石に事の深刻さに気付いた結愛ちゃんは何とかしたいと考えた。
「陽奈ちゃん」
結愛ちゃんは陽奈ちゃんに助け舟を求めた。
「二人もお弁当食べようよ!」
と、言って二人に促した。二人は緊張した面持ちで弁当を開き、それを口にした。オドオドした様に食べ物を口にしていた。皆んな、その様子を見て、口々に話し掛けた。
「十和ちゃん。あのねー」
「香子ちゃん。あのねー」
皆んなが二人に話し掛けている内に緊張もとれた様で、段々皆んなと打ち解けて行った。弁当を食べ終わる頃には皆んなに溶け込んでいた。元々はジューフレンの仲間なのだ。渚ちゃんや海咲ちゃん。陽奈ちゃんを返して、仲間に入りやすくなっていたのだ。二人も結愛ちゃん達階の上の様な人物と普通に話しているのが、信じられない様であった。
そんな中、僕も朝陽君達の事を考えていた。朝陽君達だって、ここに来てくれたら、いいのにとそう思っていた。陽翔君がそんな僕に気付いたのか、話し掛けて来た。
「新葉君。どうかしたのかい。なんか元気が無い気がする。僕の気のせいかな」
と、陽翔君が僕に聞いて来たのだ。
「えっと、朝陽君達も十和ちゃんや香子ちゃんの様に皆んなと一緒に過ごせば無〜って思って。僕達はジューフレンって言うグループの仲間だったんだ。だけど、目立つのが嫌だって、僕達とは友達じゃいられないみたいなんだ!」
新葉は心に支えていた思いを陽翔君に打ち明けて見た。
「朝陽君か、実は僕も友達になりたいって、思ってたんだよ。あの子いい子だよね。今度、僕からも誘って見るよ!」
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