第54話渚ちゃんと並樹道の歩道を歩く。
僕と渚ちゃんは二人で先に皆んなと合流する事になった。だが、二人共に足取りが重い。速く着いて、皆んなに報告する必要もあるが、その反面二人を残して行くと言う後ろめたさの様な物もあるのだ。特に渚ちゃんは疑いもせずに心から心配しているのだ。なのでより一層足取りが重いのだ。それに比べて僕は渚ちゃんと二人きりになればと言われた後の腹痛だ。全く持って疑わしい。揶揄われているのではと半信半疑なのだ。しかし、本当に樹君が腹が痛いと言うのは有り得ない訳でも無い。心配皆無な訳でも無いのだ。なので、二人共に足取りが遅くなってしまうのだ。
並樹道の歩道を歩いている。道は舗装されてはいるもののコンクリートで出来ている為、滑らかさは無い。それが返って道のりの雰囲気が出ている。枯葉が処所に落ちていて、その道を魅了している。恋人同士が歩くには良いシチュエーションになっている。素敵な道のりなのだ。そんな道のりを僕らは歩いている。
渚ちゃんと二人っきり。そう思うと僕の心臓はバクバクしている。樹君の思惑通りにされている気がする。嫌だ。けれども嬉しい。そんな思いが交差している。思えばいつも渚ちゃんや僕の所には大抵大地君や海咲ちゃん。駈君達がいて、二人っきりになどなった事が無い。なので、より一層意識してしまうのだ。
少し、歩くと前方に人が歩いて来るのが見えた。中年の叔父さんだ。犬の散歩をしている。大きな犬だ。ゴールデンと言う犬だろうか? ここにはだだっ広い芝生の広間がある。そこでかけまくったら、良いだろうけど、ここには沢山の人がいてそれも出来ないだろう。ならばここは最適な犬にとっても最高の散歩道とも言える。
渚ちゃんが僕の服を掴む。僕はどきりとする。犬が怖いのか、道を開けさせようとしているのかは分からないけど、僕にとってはどきりとさせられる行為だ。可愛い。愛おしい。僕と渚ちゃんは少し、端に余計て犬の散歩している人に道を譲った。その後も次から次へと人の行き来をしている。ここは散歩道でもあるがトイレに行く道でもある。そんな道を渚ちゃんと僕は皆んなの元へと向かって歩いているのだった。
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