第53話渚ちゃんと二人きりの遠足。
樹君は僕の耳元で、抜け駆けする事を提案して来た。僕は渚ちゃんと二人っきりの遠足を思い浮かべてしまって耳が赤く染まってしまった。顔も真っ赤になる。
「そっ、それは……」
僕は樹君の誘惑には乗らない様にしようとするが……。
「イテテテテテテテテテテテテテテテッ。うっ。はっ腹が………………」
樹君が急にお腹が痛いと言い出した。さっきまで元気だったと言うのに急にどうした? 本当なの。本当なら心配だな。
「樹君。お腹が痛くなっちゃったの? 大丈夫?」
心春ちゃんが樹君の肩に手を置き、覗き込む。樹君は顔を背けて痛がる。
「はっ腹が……。トッ。ト!」
樹君がもう一度言うと、
「トイレね。トイレ探しに行こう!」
心春ちゃんは心配してトイレの場所を共に探す。
「僕が、連れて行きます。二人は先に皆んなの所に!」
新葉は樹君を抱える。樹君が僕によしの合図を出す。僕は樹君の言いたい事は分かったがそんな事をしても良いのか?
「私達も一緒に行くよ。具合が悪いって言うのに放って置けないよ」
心春ちゃんはそう言って、樹君の側で寄り添った。当然とばかりも渚ちゃんも付き添った。四人は取り敢えず、トイレに向かった。
暫く、歩くと、歩道らしき道を通り抜けると、トイレらしき建物を発見する。そこへ僕は樹君をトイレの中へと連れて行く。
「樹君。どう言うつもりなんだい。嘘を付くなんて何を考えているの。もし、この事が二人に知られたらどうすんの!」
僕は樹君に抗議する。
「何言ってんの、新葉君。俺がこんなに腹痛がっているって言うのに!」
樹君は腹を抑える。
「ごめん。本当に痛かったの?」
僕はまずい事を言ってしまったと、思った。
(可愛いやつだな。直ぐに騙されてる。新葉君)
「新葉君。もうそろそろ外に出よう。二人が待っている」
僕達は外に出ている二人と合流した。
「もう大丈夫なの。樹君」
心春ちゃんは心配して聞く。
「まだ、少しおかしいけれど、もう行かないと皆んなが心配してるだろう。心春ちゃん。悪いけど、肩を貸してくれ。二人には先に行って報告して貰おう!」
樹君は言う。僕と渚ちゃんは先に行っている事となった。渚ちゃんと二人きりとなる。
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