第50話遠足前日。

いよいよ明日妹音葉の楽しみにしていた遠足の日を迎えようとしている。音葉にとって初めての遠足だ。楽しく、怪我無く過ごしてくれる事を願っている。楽しみにしているのは何も音葉だけでは無い。僕も渚ちゃんと行く遠足を心より楽しみにしているのだ。それがいよいよ明日となった。


今、前日の夜。自宅で明日の準備をしている最中です。


「ねぇ。お姉ちゃん。明日着けて行くリボン何色にしようかなー?」


張り切る音葉は姉の水葉に相談を持ち掛けている。だが、水葉とて、支度をしている真っ最中だった。


「何色でも良いじゃ無い。あんたの好きな色で!」


素っ気無く水葉は言って、自分の支度をしている。


「お姉ちゃん。お願い。選んで欲しいの。私はお姉ちゃんと違って初めての遠足なんだよ。初めての遠足って後々良い思い出として残るんだよ。妥協したく無いの。だからね。お願い。お姉ちゃん」


音葉はいつもながらのお姉ちゃんにおねだりをして甘えていた。


「もう。分かったわよ。この服には赤いリボンが似合うんじゃない」


水葉は面倒く下がりながらもいつもの様に甘やかしているのだ。そして、僕はと言えば、僕も遠足の支度をしていた。とは言え、女の子達とは違い、簡単に済ませる。

そもそも、お金が入るのも皆んな女の子達の方が圧倒的に多い。お兄ちゃんと僕の洋服は後回しにされている。数が少ない。それに加えて僕はお兄ちゃんのお下がりは当たり前なのだ。お下がりもボロボロにするお兄ちゃんのお下がりなので数が減るのだ。なので、選び用が無いのだ。そっちの方では無く、向こうに行ってからの計画の方が時間が掛かるのだ。僕はメモ帳に行動範囲を纏めていたのだ。


「えーと。あーしてこうして次はこれして、あれして……んー」


僕は独り言をぶつぶつ念仏の様に唱えながら、計画をして行く。この計画は決して苦では無い。寧ろ進んでやっている。何せ渚ちゃんがいる遠足と言うだけで僕の心は踊る。楽しい。今日は久々に楽しい夢を見れそうだ。

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