第48話うっ。何とか誤魔化さないと‼︎

四人は心配して僕を探しに来たんだ。


「あっ。うん。えっと!」


新葉は渚ちゃんに聞かれてやしないかと内心ヒヤヒヤしている。


「新葉君。朝からずっと、バスの中でも様子がおかしかった。何かあったの。大丈夫⁈」


渚ちゃんが僕の様子を心配している様だ。けれども僕は今、一番会いたく無い人物でもあった。いつ樹君が爆弾発言をするか、気掛かりでならなかった。今でも、樹君が言った渚ちゃんが好きだと言う言葉を聞かれてはいやしないか。心臓がバクバク者だ。僕は如何に誤魔化すか。そればかりを考えている。


「そうだよ。新葉君。何があったんだか言って見て〜」


海咲ちゃんも渚ちゃんの隣で同じ様に心配している。


「新葉君。君が一人抱え込んでいるなんて水臭いじゃ無いか?」


大地君も言ってくれた。どうやら皆んなにこんなにも僕は気を使わせてしまっている様だ。


「新葉君。何かあるんだったら、言って欲しい。僕らも力になりたいんだ」


最後に駈君がそう話し掛けてくれた所で僕は重い口を開いた。


「ごめん。実はさあ、ジューフレンは解散の様だ。僕が目立ち過ぎるから、こんな事になっちゃった。四人は目立ちたく無いって、僕とはいたくないんだ。本当にごめん」


新葉は正直に言って、謝った。


「違うだろう。樹君が目立つからだろう。樹君が君の側でうろちょろしていたら当然目立つよ!」


大地君が僕の言葉を否定する。


「何だよ。それ。結局は俺が悪いのかよ!⁉︎」


樹君は大地君の言葉にムッとした様だ。


「それだけじゃ無い。僕もあの女子人気の陽太君には余り良く思われて無い様だ。実際に僕も目立つ様だ。渚ちゃんだって、なんだかんだ言ったって、可愛いからって目立っているし、可愛い心春ちゃんとも仲が良いから、余計に目立つ。俺らは所詮皆んなが目立つんだよ。浮いているんだろう!」


大地君は言う。


「ねえ。私は私だって、可愛いから目立つ筈よ!」


海咲ちゃんは自分を忘れるなアピールをしている。


「皆んな有難う」


新葉は皆んなの優しさに救われた気がした。あの四人もいつかは分かり合えるかもしれない。


「俺が一番目立つけどな!」


樹君らしい言葉が返って来た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る