第9話新葉君。君が一番目立つ様だね。
樹君は大地に近付いて、
「悪かったな」
言って、樹はその場から離れた。新葉は大地とホッとした。
「心春ちゃん。有難う。君の言葉の効果聞いたね」
新葉は不思議と言った。
「ごめんね。樹君は本当はとても優しい子なのよ。なのに………………」
心春ちゃんは樹君に代わって謝った。心春ちゃんは続けて話す。
「樹君とは幼馴染なんだけど、前はねとても優しい子だったのよ。今はもうそう思えないかもしれないけど、本当に優しい子なの」
心春ちゃんの言葉は僕の心に響いた。僕達は樹君の事を何処か誤解しているのかも知れないと思った。かつて僕のお兄ちゃんは学校では嫌われ者だった。けど、お兄ちゃんは優しい子だった。僕も僕を揶揄うお兄ちゃんの嫌な事もあったけど、それでもやっぱりお兄ちゃんの事は好きだ。心春ちゃんにとっても優しい時の樹君しか見えてないのかも知れない。
「いや。心春ちゃんが謝る事無いよ」
新葉は驚いて言った。心春ちゃんが樹君の投げ飛ばしたサックペンを拾い上げ大地君にそれを渡した。大地君はそれを受け取り、謝罪を受け入れた。
「うん。分かった」
大地君はニッコリ笑って許している。この後、大地君はより人気者になって行く。と、同時に僕は以前より注目を集めてしまっている様に感じるのは僕の勘違いだろうか?
新葉は朝陽君と目を合わせる。
「あっ。君って子は………………」
朝陽君が言うと、二人は同時に言葉を漏らす。溜め息も漏らす。朝陽君は二人を離してから新葉に近付く。
「君は誰よりも目立つんだね。今度の事で僕も目立っちゃったよ」
朝陽君は僕に言った。朝陽。髪型はナチュラルショートで身長は新葉とはトントンだ。体格はほんの少し新葉よりも体格がいいか。服装は黄緑色でズボンは黄土色のカジュアルな服。靴は白。明るくて面倒見の良さそうな子に見えた。感じの良さそうな子のイメージだ。
「新葉君は樹君を止めようとしたの。随分と無謀と言うか、勇気があるんだね。皆んな誰もこの二人を止める事は出来ないんだよ。二人は最強だからね。新葉君は凄いんだね」
朝陽君は僕に熱い眼差しを注ぐ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます