第27話
賢三は、人から天職と言われるほど音楽の教師が性に合っていた。高校生は1年生と3年生とでは、往々にして大きな差がある。身体的な差は、年度末になるとあまり気にならなくなるが、精神的な差は、なかなか埋まらない。多くの生徒は、この3年間で精神的には大人になっていく。沢山の経験もすることになる。大体が夏休みを終えると、心身ともに成長しているのがわかる。特に、性体験を済ませた子は、目に潤いを持たせたり、若干の恥ずかしさが秘め事を持ったようになり、大人臭くなるのだった。女子のそれは著しく、秋口から同級生よりも大人びて見える3年生の男子に憧れたりする。男子は、女子の通過したものとは若干違うようで、大人の一歩とは言いにくい事が多いが、経験豊富な大人からは何があったか隠せないようだ。ただ、どちらも切なさを伴った美しさがあり『青春』と呼ばれる成熟期に突入したことになる。いろいろな思想も頭に入ってくる。本の読み方も、それそれ、本質をやっと掴みだして、感動の度合いによっては、間違った理想に走る場合もあるので、良く観てくれる大人がそばにいる子は曲がらず、強くなる。 賢三は、生徒の男女両方から絶大な人気があった。この学校は元工業系男子校だったこともあり、女子が少ない。男子も理数系に強い、賢い子が多いので、偏差値は高い高校だ。そんな賢い子が集まる理数系の強い学校の音楽は、あまり期待できそうにないが、賢三はそこに目をつけた。軽音楽部は賢三が教えだしてから、なかなか人気のある部活動となった。時々、大学のときの友人でバンド仲間、同じように高校教師になった、一ノ瀬晶が応援に来てくれる。案の定、一ノ瀬が来るときはベースを弾いて格好良く見せたい生徒が殺到するし、女子生徒の見学が多くなる。お返しに賢三も一ノ瀬の学校に行き、サックスを吹いてくる。一ノ瀬の学校でも評判の良い先生となった。
賢三の勤務年数は4年を数える。軽音楽部は充実していて、誰かが飛び抜けて上手いというよりも全体がまとまったビッグバンドができていた。このメンバーなら、都大会まで行けそうだ! などという夢も持てるようなまとまり方のビッグバンドで、一ノ瀬にも協力してもらっている。一ノ瀬の学校は、そこまで熱の入った生徒が少ないのが残念だったが、そのせいで、賢三の学校には少し贔屓をしてしまい、他校でありながら、つい、期待している自分がいた。
杏子はというと、歩くにはクラッチを使うことが多くなった。それでも自分で率先して公園などに行き、音楽を聴きながら人々の様子や風景を見るのが楽しかった。何を観ても物語があるものだと感心したり、知らない人と顔が合えばニコっと笑い、たまには話をしたり。最近のイヤホンは、完璧に耳を塞がずに、良い音で聴ける『オープンイヤータイプ』と称するスグレモノがある。ある程度外音が聞こえるから、人から話しかけられたりしてもわかるし、自転車などの通行の邪魔にならずにすむ。ヘッドホン型でノイズキャンセルできるものは、あまり人と関わりたくないときにだけ着けることにした。好きな音楽を聴きながら散歩すると、下手な映画を観るよりも、数段上に楽しむことができる。自分が音楽に携わっていて本当に良かったと思う。杏子は孤独感というものを何処かに置き忘れてきたような気質がある。多分それは転勤がある両親や、妹ができて自分はお姉ちゃんだから一人でも大丈夫・・・更には、たった一人の東洋人として黒人100%の教会でクワイアを習ったことも影響している。2人の親友ができたことは幸運だったが、それでも、自分だけ孤立していても平気になることを覚えたようだった。なのに今、賢三のいない生活が考えられなくなっている。自分が誰かをここまで愛せるとは、想像したこともなかった。元来、ドライな性格と言われていたこともあって、恋愛や色恋沙汰は、全く自分以外のところで語られるものだと意識していた。何人かの男性に『付き合って欲しい』という告白もされたことがあったが、賢三だけが杏子の心の琴線に触れた。
家族や友人たちも、口を揃えたように、賢三が私にとって『運命の男』だと言うのには、驚いたものだった。
『そうか、私にも『運命の人』がいたんだ。。。』
そう心のなかでつぶやくと自然と口角が上がり、嬉しそうな顔をしている自分がわかる。
『あと、どれくらい一緒にいられるのだろう? 』 少しずつだが確実にできなくなることが出てくるたびに、その言葉が頭をよぎる。なにか思い出になるものを残そうかな? まだ歌えるうちに恋歌でも録音しておこうかな? でも、どうして離れなきゃいけないの? ・・・ いやいや、私がいなくなって落ち込むのは賢三。彼が心の路頭に迷うようなことはしたくない。自分がいる間に、彼を強くしておかなくては。。。自分に執着させすぎてはいけない。。。彼はまだ若い。素敵な恋ができるかも知れない。その女性と子供も作れるかもしれない。。。私じゃなくて良いのよ。。。と、いつか気がついてくれたら、違う幸せが必ずつかめる。・・・ほんと??・・・私だけの男じゃなかった? そう、私だけのものなのに。。。どうして離れていかなければいけないの? だって、あっちには一緒に連れていけないからよ。。。置いていかなければいけないのよ。
『あぁ、、、こんなに愛しているのに。。。』
杏子の母は、アメリカでの仕事を完全に引き上げることにした。夫はそのまま区切りがつくまでは留まることになる。杏子の妹、慧子が大学を終了するまで一緒に滞在することになった。母は、杏子の介助ができるように、早めに帰国して、自分が日本の生活になれたいという希望だった。自分たちの家を車椅子でも使えるように改造し、賢三がいない時間は母娘で過ごせるようにしたい。祖父母もそれには賛成した。少しでも賢三の負担が少なくなることを喜んだ。 賢三はというと、自分だけで賄うつもりだったので、若干腑に落ちなかった。しかし、杏子と義祖父母から説得されたのだった。 朝、自分が出勤するときに、杏子の母が来る。義父母もいるので、たしかに安心だ。杏子は自分で何でもやろうとするので、注意が必要でもある。 しかし、まだまだ普通に生活できるので、杏子は周りを固められている気がして、良い気はしなかった。杏子の母は、独立心の強い娘を、そのまま受け入れてきたが、本当は杏子との時間を過ごしたいという気持ちが長年積もっていた。妹の慧子が生まれて以来、杏子は甘えてくることが皆無になった。赤ちゃんを育てるに当たって、上の子が甘えなくなることは助かるが、反面、ものすごく淋しく感じていた。時間ができて側に行くと、既に就寝している長女の杏子。あの酷い虐めにあっているときも、東洋人の女の子は勉強も歌も最上級と言われて、その上、何に対しても偏見がない子で、とても誇りに思っていた。あの教会とあの集団に近づけさせなければよかったのに・・・と他人は言ってきたが、そうは思いたくなかった。育て方は間違えなかったと自負できる。ただ、もうちょっとだけ、自分たちに甘えてほしかったのに。。。
「もしもし、お母さん? そんなに慌てて帰ってこなくても平気よ。私はまだ普通に生活できているし、賢三がいつも支えてくれているし。 まさかとは思うけど、遺伝性疾患ということになにか罪悪感でも持っているの? だとしたら、私、怒るよ。そういう事は考えないでね。でもね、お惣菜の買い物とか一緒に行けるのが楽しみだよ。服や化粧品もね!」
「遺伝性疾患については、無知だったからね。。。最近のDNA検査には頭が下がる。でもね、貴方と慧子が私達の子どもとして生まれてくれたことには感謝しているのよ。結果、あなたに病気を繋げてしまったけど、母親として、貴方ほど素晴らしい娘はいないわ! もちろん、慧子もね。 慧子にとっては貴方は最高の女性なんだってさ。母である私以上に。 あとね、私に素敵な息子も連れてきてくれたものね、杏子(笑)」
「勉強は私よりもできるのに、馬鹿な子だわ。。。慧子に言っておいてね。私は慧子の母親にはなれない。あくまでもお姉ちゃんだけなんだってことを。お姉ちゃんとして最高で、母親としての最高はお母さんだってことよ。自信持っていいのよ、お母さん! でも賢三はあげないわよ。」
電話の向こう側で、無言となった母だったが、明らかに泣いているのが感じ取れた。虐めからの暴力で意識不明になった最愛の娘が、ようやく素晴らしい伴侶を見つけてくれて、これから楽しく生きてくれると思っていた矢先に、まさかの治療不可能という遺伝性疾患。。。なぜ私じゃなくて私の最愛の娘にそんな負担を負わせるのか?? 杏子の意識がない間の、たった2週間で髪は真っ白になった。精神的な苦痛だったのだろうけど、寝る間を惜しんで娘の回復を祈っていた。神様にではなく、自分の祖先を思いながら空に向けての祈りだった。杏子が目覚めたとき、空に向かって感謝した。宗教を信じている人たちを軽蔑することは一切ない。ただ、自分たちは、なにか一つの宗教に没頭するのではなく、人々の可能性を信じて行くこと。 だから、日本やネイティヴ・アメリカンに根づく、精霊への敬意は自分たちも同様に考えることができる。だから空に祈った。
杏子の両親はネイティヴ・アメリカンの友人が何人かいた。彼らのスピリチュアルな発言や思想には全く染まらなかったが、全てのものには精霊が宿り、人々は決しておろそかに扱ってはならないという約束事を持った精神は、日本の神話や古くからの言い伝えにも並ぶ、神聖なものを感じたようだった。それは、宗教のそれとは全く違うと言える。だから、杏子の山本家は、完全に無宗教だ。 意外と知られていないかも知れないが、日本以外の国では宗教を持たないことは非常に珍しく、どんな神も信じていないということで軽蔑してくる民族もいる。だから、無宗教であることを宗教のように表現して自分は精神的に強いことを表現していかなければならない。そういう意味では海外で活躍している山本家の人々は非常に強い精神の持ち主たちだ。
杏子の母は、杏子が意識不明の状態になるほど暴力を受ける以前から、虐めに遭う覚悟を母娘ともに持っていたと言える。そのうえで強くあろうと杏子と励まし合っていた。しかし、意識不明になった娘を目の当たりにして後悔の念がなかったわけではない。杏子自身が望んだことだからやってこられて、あの全く違う人種の中に彼女を溶け込ませることが誇りに思えるとさえ考えていたことが、少し甘かったのだと疑った。それでも、覚醒した娘は一切人種差別はしなかった。親友の2人と、手をとりあって、楽しく過ごそうとしてくれたことがせめてもの救いだった。トラウマが残ったことを理解するのは、それからかなり経ってからだったが、分かったときには、もう二度と無理強いをしないと決意していたので、合唱団からソロを取るように言われても断っていた。杏子はそんな母を見てホッとしているのが分かった。それが、愛する人ができて、自分に時間がないとわかると、長年のトラウマを克服しようとしているなんて。。。杏子の両親は改めて強く抱き合い、自分たちを越えて素晴らしい人間として成長した我が子を敬愛以上に誇りに思った。 やっと水入らずで暮らせるようになる。あのとき既に何らかの脳障害があってもおかしくなかったのだ。母娘水入らず、憧れていた。
「杏子! 俺の軽音部、なんか凄くてさ、うまくすると、全国まで連れていけるかも知れないんだ。ちょっと興奮しちゃうんだよな。。。」
「そうなんだ! すごいじゃない。ばっちり練習してもらわないとね。ここの処、トレイターズも、翔平と彩子が中心でライブできてるみたいだし、彼らも大学院のほうも、わざと留年してた甲斐があったものよね。彩子ちゃんは、研究室に残るみたいだし。翔平は、好き勝手にできている感じね。最近はどうなのかしら?」
「最近はお利口な奴になってきたよ。みっちゃんと彩子がいるしね。でも、毎日杏子のこと聞いてくるらしい。俺の携帯にも変なメッセージがはいってるよ。杏子を手放せって! アイツ、何年経っても懲りないよな。。。(笑) あとね、今年入ってきた新任教師たちの1人が面白いんだよ。古文の教師でね、書道家なんだ。もう、早速書道部の顧問にさせられてた。あれは可愛そうだな。。。有無も言わせずだったみたいだ。お坊ちゃま君みたいなんだけどね。。。最初の飲み会のときからなんか、打ち解けちゃってね。今度連れてくるよ。」
「賢三は誰とでも打ち解けるじゃない? その古文の先生、ラッキーだわ。楽器はなにかできないの?」
「あ、それな。。。聞いたんだけど、せいぜいカスタネットかタンバリンです。。。とか真面目な顔して言ってたよ。(爆笑)書道家だしな。 なんか、俺のこと知ってたんだよね。。。」
「へぇー、何処かのライブでも見に来たのかもね。落語家でジャズ好きな人いるじゃない? あと、歌舞伎役者とかにもジャズ好きな人がいたと思うの。 ジャズって、あの手の人達に受けるよね。 ただ、あの手の人達って、あとからジャズを好きになろうという人には、ドーダー感丸出しで、けっこう上から目線して虐めるのよね。テレビでそういう番組やってたりするし、観ていてゲンナリする。ジャズって、もっと自由じゃない?何でも受け入れ体制があるのがジャズのはず、まさに言葉の通り。私はブルースやソウルしか歌わなかったけど、そのへんの事はわかるし、ジャズシンガーたちともよく話した。だから、マイルス・デイヴィスは神様みたく言われるのよ。ものすごく厳しいけど、彼が育てた若手はみんな成功してる。 あ、変な愚痴になっちゃった。。。」
「うん、杏子の言っているとおりだと思うぞ。俺、あのタレントがマイルスにインタビューしてる動画見たことあるんだけど、ふざけた感じでさ。。。ウケ狙いなのか、誤魔化しなのか?? 観てて嫌悪感感じた。マイルスって、そういうのも受けおっちゃうんだよな。。。厳しいのは昔からだ。ジョン・コルトレーンは、マイルスに殴られたことがある。バンドも辞めさせられた。薬と酒のことだったみたいだけどね、でも、再度バンドに入っているんだ。マイルズもコルトレーンの実力はわかってたんだ。ま、俺と翔平みたいかも??ラッパは逆だけどね。(爆笑)」
「そうだ、私今週は3つもスタジオ録音が入ってるんだ。 頑張らなくっちゃ。ちょっと彩子ちゃんに会ってこようかなと思ってるの。ピアノ着けて欲しいところもあってね。」
「そうなんだ。3回もあると疲れないかな?無理しないでほしいけど。。。疲れちゃったら電話してくれよ。迎えに行く。」
「学校だし、授業中だと困るから彩子ちゃんにお願いするよ。彼女、時間に余裕あるって言ってくれたから。みどり子は仕事だしね。。。」
「なら安心だ。翔平がおまけで付いてこないことを祈るよ。」
「ははは、大丈夫よ。翔平はね、賢三と一緒にいる私が好きなのよ。変わった子よね。結局は賢三が好きなのよ。でも、薬に戻したくないし、お酒だって、できればもう飲ませたくない。あの子は天才よ。。。才能を潰すのは彼自身だと分かっているんだと思うの。」
「才能だけは認める。 彩子の話だと、最近やけにしつこいストーカーがいるらしいんだ。。。若い女の子だけど、なんとかして翔平に取り入りたくて必死らしいんだけどね。。。翔平は下手すると手を付けるんじゃないかって彩子は心配してた。」
「翔平は若い子は全く相手にしないよ。。。年上で、できれば既婚者がいいんだというのは変わってないみたいだって、みっちゃんが言ってたよ。」
「それな〜、、、いい加減にしてほしいよな。。。ボコられているのに反省しないんだよな。。。」
「私ね、翔平には良い人が見つかって、幸せになってほしいんだよね。。。私を好いてくれているのは嬉しいけど、私は賢三以外を男として愛せない。 翔平は弟みたいな感じだなって思ってる。薬から救い出したかったのは、あのセイラの兄さんと被ったからなんだ。。。オーバードーズで、ある朝、起きなかったのよ。。。私のことも可愛がってくれた素敵なお兄さんだった。ちょうど賢三くらい背が高くてね、カッコよかったからとってもモテたの。いつも女の人がそばに引っ着いてた。すごく翔平と重なる。だからかな・・・セイラは直感で翔平を守りに入ったわ。『オー、ボーイ!』ってね!(爆笑)翔平の薬はかなり抜けたし、多分もう手を出さないと思うの。ただ、その手の女の子がそばに来るとわからないでしょ? それはともかく、一番心配なのは酒。薬と酒で肝臓が駄目になることが多いのよね。。。そういう人はいきなり死んじゃうのよ。。。コルトレーンがいい例よね。 翔平は肌が綺麗だからまだ大丈夫だと思うけど、普通、カサカサしてきてニキビ跡みたくなるの。。。肝臓でお酒が浄化されなくなるほど深酒した結果みたいよ。」
「あぁ、アイツは男からも誘われるほどお肌がツルツルできれいだよ。。。(爆笑)俺、話を通してほしいって数人に言われたことあるぞ。だから肝臓は今のところセーフだろうけどね。」
「ねぇ、、、彩子ちゃんって、翔平のこと好きなんじゃない? 」
「え?? えー!!?? 本当にそう思うの? なんか、不思議なカップルになりそうだけどな。。。ラブコメにしかならないぞ。。。(爆笑)」
「あ、絶対に言っちゃダメよ。ちょっとでも私達がそう思っているって分かったら、彩子ちゃん、止めようとしてしまうような気がして。。。」
「うん、それあり得る。。。翔平なんかじゃなくても、彩子なら引く手数多なんだけどな。。。あんなドラッギーのどこがいいんだろう?? まぁ、ペットの天才だということは俺も認めるけど。。。そうか、彩子が翔平に気があるのか。。。上手く運ばせたいな、それ。彩子なら、あの天才を伸ばせるし、手綱も引いていけそうだ。。。一石二鳥だよな。」
そんな話をしているとき、翔平は逗子の自室で、曲を書いている途中だったが、トランペットのベル部分をじーっと見つめ、杏子のことを思い浮かべ、マスターベーションを始めて、小声で呟いていた。。。
「俺の杏子ちゃんは、死なない。。。俺より先になんて絶対に死なないんだ。」
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