八話
真っ暗な踊り場に出る。
下に行くほど空気が冷たくなっていく。
まるで来るなと言っているみたいだ。
コツンコツンと繰り返し鳴る足音を聞きながら少しずつ階段を降りる。
開いていた扉の光が段々と届かなくなっていく。
そのうち光は持っている銃のものだけになった。
階段を二十段ほどおり、また踊り場に出た。
「ふぅ...」
階段を降り始めてから数分しか経っていない。
なのに、とてつもない疲労感だ。
「いくか...」
ここで止まっても仕方がない。
さっきより早いペースでまた進みだす。
また二十段ほど降りると重厚な扉が現れた。
やっと出れる。
もう限界が近かった。
勢いよく扉を開ける。
すると、扉の向こう側は変わらず真っ暗だった。
よくよく考えてみれば扉から光が漏れてこない時点でおかしい。
大きなため息をついてから扉の先に進む。
扉の周りにあった段差を降りると、足が水の中に入る感触がした。
とっさに明かりを下に向けると段差の下には水が溜まっており、この階層一面が水没していることに気が付いた。
「も~...最悪だ...」
足首までびしょびしょになってしまった。
段差に戻って一回落ち着いたけど...
結局この先に進まないと意味がない。
「あ~くそ!!」
もう吹っ切れた。
バシャバシャと音を立てながら水の中を進んでいく。
水の中に落ちている様々なものが当たって痛いがそんなのは関係ない。
冷たいし、怖いしでそんなことを考えている暇などなかった。
「扉かなんかないのか...?」
水だらけの部屋を歩き回る。端から端へと繰り返し扉を探す。
壁を右手で軽く触りながらゆっくり歩いているとようやく扉が見つかった。
「やっとか...」
急いで開こうとすると扉の向こう側にも水がありとてつもなく重たい。
思いっきり息を吸い、下を向き両手で力いっぱい押す。
水音を立てながらゆっくりと開いていくドア。
目線を戻すと、また真っ暗だ。
明かりを向けると無限にも思えるほど暗い廊下があった。
「なんだあれ...」
奥の方で赤い光がうごめいている。
近づいてくる水音。
ようやく光が届く距離になって気が付いた。
ロボットだ。
沈んだ世界にたった二人で 自転 @gyakusetu444
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