七話
急いですぐ横の部屋のドアを開き中に入る。
音を立てないようにドアを閉め、考える。
なんで開いた?
誰かいるのか?
心霊現象か?
分からない。
どうしよう。
ガシャン...ガシャン...
足音が近づいてきている。
「はぁ...はぁ...」
怖い...
ドアの軋む音が少しずつ近づいてくる。
ガチャ...ギィー...
唾を飲み込む。
たぶん、ドアを開けて部屋の中を確認して回っているんだ...
俺のいる部屋の中には、机と倒れた椅子に用紙の散らばった棚がある。
隠れられる場所は...
どうすればいいんだ...
もうすぐそこまで迫ってきている。
バタン...!!!
すぐ隣の部屋のドアが閉まる音がした。
どうしようと考えていると自分の目の前にあるドアが開いた。
偶然ドアの裏側に隠れた俺は息を殺して時間が経つのを待った。
ロボットなのか相手の息遣いがわからなかった。
永遠にも思えるほどの三十秒を過ごした後ドアは勢いよく閉められた。
「ふぅ~~......」
今の一瞬で恐ろしいほどの神経をすり減らした。
ドアを開けた何かの正体は見えていないが、恐らくロボットだと思う。
戦争の時にこのビルにいる人間を殺すために入ってしまったのだろう。
ロボットには水を感知する機能があるから、一生このビルの中で居もしない人間を探し続けるのだろう。
「充電...切れたりしないのかな...」
このまま部屋を出て大丈夫なのだろうか。
もう外から音は聞こえないけど...
「ゆっくり開けてみるか...」
ギィ~...
少しだけ開けたドアから顔を出し左右を確認する。
「もう行ったかな?」
廊下を見ても何もいない。
「よし」
ギィ~...
足音を立てないように移動する。
さっきまでいた何かは律儀に全部のドアを閉めていったようだ。
まだ会うかもしれないからなぁ...
慎重にいこう。
さっき向かおうとしていた廊下の向こう側。
その光の差し込んでいた窓まで来た。
ビルは俺の来た方向に傾いているようで、窓から降りるにはかなり高さがある。
ここで無理して飛び降りて骨でも折ったら、とんでもない足止めだ。
それに戻れるかもわからない。
こんなに大きいビルだ。
どこかに階段があるはず。
廊下を首を振りながら歩く。
「階段...階段...」
廊下の中間に他の部屋とは違う重厚な扉が現れた。
ドアノブに触れ鍵がかかっているかどうか確認する。
ガチャ...
「開く...」
ゆっくりと扉を開けると光の届かない真っ暗な階段が見える。
薄暗い廊下とは比べ物にならない不気味さだ。
行きたくない。
しかし、行かなければ前には進めない。
「行く...か...」
息を大きく吸い、勇気を出す。
でも、明かりがないままこの階段を進むのは不可能だ。
扉の前でリュックを漁る。
「なんか、あるかな?」
研究所を出るときリュックに入れた変な電波を出す銃。
その下には懐中電灯がついていた。
「これでいけんじゃん!」
両手で銃を持ち明かりを点け扉を開けなおす。
ギギィ~~...
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