六話

「西側に何の反応があるの?」


「西側の近海から発せられる、ヨットについているレーダーの電波を検知しました。」


「ヨット?何年も放置されてるよね、使えるのかな?」


「ワカリマセン」


海を横目に海岸を進んでいく。

少し進むと、半分ほど沈んだ街が現れた。

そこに流れ着く波は茶色く濁っていて、変な泡まで出ている。


斜めを向いて沈んだビルや、屋根しか見えない家。

見ているだけで寂しくなる。


私の故郷ではないけど、ここは誰かの故郷でその人にとっては暖かい自分の育ててくれた土地だから。


「この街のどこかにヨットがあるんだよね」


「ハイ。西ニ500m進ムト電波源ニナリマス。」


「なるほど...」

西側は水に沈んでいてここから先は海上に見える屋根やビルを飛んで進まないといけない。

それに、ここから見える分にはいいがどこで途切れるかわからない。


「う~ん。ちょっと待ってて」


「了解シマシタ」


めいは防水機能があるとは言ってたけど、水没したらどこかしらおかしくなる可能性は高いと思う。

500mがどこまでかわからないけど、このまま西にまっすぐ進めば見つかるだろう。


「よし、行こ」


足元を見ながら慎重に渡っていく。

瓦礫で汚染された水、落ちたら変な病気になりそうだ。


沈んだ家の屋根の上を進むと、大きなビルが目の前を塞いでいる。


「どうしよっかな..........いや、行けるか」

ビルの前に立ち進めそうな所を探していると窓が割れていることに気づいた。

割れた窓の部分に飛んでそのままビルの中に入ろう。


「ふぅ~」

呼吸を整える。

少し下がって助走を取ってから力の限り飛ぶ。


ギリギリ右足がかかった。

がしかし、バランスを崩し後ろに倒れそうになる。


「うわっ、やばいやばい...!」

壁をつかんで無理やりビルの中に体を押し込む。


「あっぶな...」

腕がつりそうだ。

あんまり使わない筋肉を使った。

腕を交差して、二の腕をさすりながら進む。


ビルの中は薄暗くて、不気味だ。


何だこの部屋...

上からロープが垂れている。

輪になったロープの先、気味が悪い。


バキ...

「え?」

骨だ。

人骨が落ちている。


ゆっくりと踏んでしまった足をどける。


「......ごめん、ゆっくり寝て」

街がロボットに焼かれていく様を見て、折れてしまったのだろうか。


ドアを開けて部屋から出ると長い廊下が現れた。

向こうのほうに、光が入ってきているのが見える。


来た道を忘れないように振り返って確認をする。

汚れてしまって見ずらいが、会議室と書いてある。


「会議室か...よし...」

しっかりと頭に入れて前を向きなおす。


見れば見るほど本当に不気味だ。

肩をすぼめて、速足で歩く。


ギィ...

「は?」

廊下の向こう側のドアがゆっくりと開いた。


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