二話

話が掴めない。

自分が何者なのかも分からないのに妹を救ってくれなんて言われても意味が分からなくて当たり前だ。


老人は続ける。

「私はもう死んでいる。これは通話ではない。記録だ。」


記録...

なんでこんなもの残したんだ?

というか誰なんだこの人は...


「君は実験体一号、人造人間だ。名はレド。」


人造人間?

この人は頭がおかしいのか?

でも名前はぼんやりと覚えている。

確かにこの人の言っている名前であっている。


「信じられないとは思うが本当だ。人造人間と言っても、ほぼほぼ人間と変わらない。違いがあるとすれば、本来の人間が感じ取ることのできない電波を感じ取ることができる事ぐらいだ。」


.........自分でも信じられないようなことを言っている自覚はあるんだな。


「君の後、妹として生み出された実験体二号レイがいま危険な状態にある。それを救えるのは今世界に君だけしかいない。頼む、救ってほしい。」


妹って言われたって会ったこともないし、他に誰か適任はいなかったのか...?

なんで私なんだ...


「外に出ればわかると思うが世界は滅んでいる。生きているのは君とレイだけだ。君ならやってくれると信じている。なんたってワシの子だからな...!」


力強い言葉をかけてくれているが顔が何かにおびえている。

大丈夫なのか...?


「じゃあ、頼んだぞ。愛している。」


画面の向こう側にいた彼は、壁を破壊して入ってきたロボットに何度も撃たれ亡くなってしまった。

私はここで彼の言っていることの重大さを理解した。


プシュー...


「なに?!」

驚いて少し飛び跳ねてしまった。

その拍子に天井からぶら下がっていたモニターに頭をぶつけた。


「いったいなもう...」


煙と共に下から現れたカプセルの中からロボットが出てきた。


「レド様、オ待チシテオリマシタ。カフカ博士カラ話ハ伺ッテオリマス。」


「ちょいちょい、その前に君は何者なの?」


「私ハ博士ガ貴方ト共ニ緊急用ラボニ残シタ、世話焼キロボットデス。」


「世話焼き??こんな世界で何の世話焼きをするんだよ!」


「レイ様ノ救出ヲテ助ケサセテイタダキマス。」


!!

「なんでお前がそんなこと知ってんだよ!」


「私ハレイ様ノ世話焼キロボットデアル、CAREトデータベースヲ共有シテイマスカラ。」


「データベース?」


「ハイ。データヲ共有シテイタノデスガ、一日前ニデータノ更新ガ東京駅デ止マッテシマイマシタ。」


「なるほど...じゃあ東京で危険が迫っているってことか...?」


「ソウデス。」


「う~ん...その私の妹ってやつの居場所が分かってもさ...今ここってどこなの?」


「ココハ北海道ノ森町デス。博士ハ、シマ博士ニ見ツカラナイヨウニ日本各地ニ研究所ヲカクシテイタノデス。」


「はぁ~なるほど。すごいじゃん博士。」


「博士ハ偉大デス。」


「ところでさ、服ある?裸なんだけど...」


少し空気の冷たい研究所。

生まれた瞬間に親を亡くした私は、最後の家族を助けるために日本の果てから旅に出る。


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