第20話

車が出発してから、数十分が経った。


「まだ~?」


「モウスグ着キマス。」

地下だというのにとてつもない大きさの街。

かなりの速度で進んでいるのに終わりが見えない。


車の中は誰かの背中に乗っているように少しづつ揺れていて転寝をしてしまった。


「着キマシタ。レイ様。」


「んん?ふわぁ~やっとか。」

車の左後ろの開いたドアから、頭をかがめてゆっくりと降りる。

下を向いた顔を戻すと目の前には下に続く大きな階段があった。


「なにこの階段。ビルに行くんじゃないの?」


「....................................。」


「え?なに...?壊れちゃった?お~い」

止まってしまった運転手ロボットに小さく手を振る。


「あれ~?どうしよっかな...ん?」

遠くのほうから警察官のような恰好をしたロボットが何体も近づいてくる。

すぐに異質な雰囲気を感じ取りすぐに車の後ろに回る。

しゃがんで車の下に見えるロボットの足を確認する。


段々と近づいてくる。


ガシャン...ガシャン...ガシャン!ガシャン!!!


ロボット達は車の裏まで回ってきた。

直感的にまずいと感じ、急いで走り出す。


「やばいやばい」

ロボットの集団はまっすぐに追いかけてくる。


「どこに行けばいいの...これ....」

走りながら考える。


「え~とえ~とこっちだ!」

ビルの合間を横向きになって進む。

そのままビルの間を抜けると目の前にロボットが待ち構えていた。


「え...なんで」

完全に取り囲まれてしまった。

じりじりと距離を詰められ、一瞬で締まる縄のようなもので拘束されてしまった。

抵抗をしても力が強くどうすることもできなかった。

ロボットは私の首元に拳銃のようなものの銃口をつけて撃った。

痛みは感じなかったが、眠ってしまった。


目を覚ますと、視界は真っ暗で少し空気が冷たい場所に仰向けで拘束されていた。

おそらくどこかの部屋の中だが、部屋自体が暗いというわけではなく顔に何かをかぶせられている。


ジジ...ジジジ....


何の音だ?


「やぁやっときてくれたね。」


この声はシマ博士か...?

「シマ博士...?」


「あぁよくわかったね。ようやく来てくれたね私の街に」


「あなたが連れてきたんでしょ!!」


「ちょっと君、取ってあげて」


「ハイ博士」

ガシャ...ガシャ...

ロボットの足音が近づいてくる。


ガチャ...


「...?」

天井が見える。

左右を見回すとここが研究所であることがすぐに分かった。

製造途中のロボット、巨大なモニター、ホログラムのロケットがある。


「なにここ...早くだしてよ。」


「それは無理だ。」


「なんで...?私が何したっていうの?何がしたいのあなたは?!人をみんな殺したのもあなたでしょ??!!!」


「人類を滅ぼしたのは仕方がないことだったんだ。私はね、世界の全てを知りたいんだ。宇宙の果て、海の底、死とは何なのか、挙げればきりがない。気になるだろう?この世界の真実が」


「やっぱりあなただったんだね...!そんな事のために人を殺すなんて狂ってる!!おじいちゃんを返して!!家族を返して!!」


「返すことは出来ない。それに君の家族は本当の家族じゃないぞ。」


「意味の分からないことばっかり言わないで...何なのあなたは...!!」


「君は今まで知らずに生きてきたのだね。実験体二号...。」

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