第17話

初めて見る夢だった。

私が水の中にいて、ガラス越しにおじいちゃんが喜んでいる夢だった。

おじいちゃんの横には白衣を着た研究者のような人がいた。

どこかで見たことあるような...


うろ覚えなのか、顔にもやがかかっているように見えて鮮明には見えなかった。


気が付くと朝になっていた。

立ち上がろうとすると筋肉痛のせいで足が痛む。

無理やり立ち上がって草むらを出る。


空は気持ちがいいくらい青く澄んでいて、真っ白な大地と相まって本当に綺麗だった。

何万体もいるロボットの間を体を横にして通る。


東京駅に近づくにつれて、変形しているように見えた部分の正体が分かった。

それは、巨大なロケットだった。


十体ほどの人型ロボットがロケットを制作しているのも見えた。

まだ未完成なのだろう。


数分歩き続けようやく入り口の前まで来た。

戦争前からほぼ変わらない東京駅の姿に少し感動しながら駅構内に入る。


駅の中は戦争前とまるっきり変わっていて壁も床も天井もすべてが真っ白な空間に変わっていた。

真ん中には巨大なエレベーターがあり、ボタンは下に行くものだけだった。


あの人?人なのかわからないけど地下に来いって言ってたけど...

一応駅の中全部見てみようかな...


履きつぶれたスニーカーの音が真っ白な空間に広がる。


肩をすぼめて不気味な真っ白い空間を歩く。

奥行きが分かりづらく、どこまで続いているのか分からない廊下。


「どこまであるのこの廊下...」

永遠にも思えるほどの時間。

視界に何も情報がないと、時間が長く感じるのだろうか。


「もう、いいか...」

戻るのにも時間がかかる。

どこまであるのかわからない廊下をずっと歩き続けるのは流石に辛い。

ゆっくりと振り返る。


ジジ...ジジジ...


「んん?」

謎の音が響く。

首を振って周囲を確かめるが何も見えない。


「こっわ...早く戻ろ...」

速足で戻ろうとした瞬間に。青白いホログラムでできた人間が私の目の前に現れた。


「うわっ?!」

驚いて地面に倒れてしまった私にホログラムは話しかけてきた。


「久しぶりだね。実験体二号。いやレイか。」


「だ、だれ?」


「あぁ、まだ名乗ってなかったね。私の名前はシマだ。科学者をやっている。」


「!!」

この人...私の夢の中に出てきた、おじいちゃんの隣にいた人だ。

というか、シマ博士??

この人...死んだはずじゃ...


「どういう事??!あなたは殺されたんじゃないの?新聞にはそう書いてあったはずだけど...」


「はは、若いね君は。いつの新聞だったかな。え~と」

博士が空中を指でなぞると画面が出てきて、新聞の情報がどんどんと流れていく。


「あ~この記事か。私のラボで遺体が見つかって脳がなかったと報告された。まぁ大体は合っているな。新聞も真実をかくことができたんだな。」


「合っているんならあなたは何でここにいるの??」

いや、この博士はホログラム...偽物なのかな?


「あの日はね、私にとって一世一代の賭けに出た日だったんだよ。」


「賭け?」


「そうだよ。君にはすべてを教えてあげよう。真実を伝えたとて、この沈んだ世界にたった二人で何かできるわけでもないだろう。」


真実...?


「私はあの日...

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