第15話
地面が揺れる。
見上げるほどの大きさになるまで近づいてようやく姿が見えた。
戦争が起きる前、工事のために使われていた巨大ロボットだった。
「でっかいなぁ~」
自分の横をゆっくりと通過していく巨大ロボを見上げながら、半開きの口で立ち尽くす。
「あ~、あっ!いいこと思いついた!」
追いかけよう!このロボットを追いかければ東京に着くはずだ。
こんな大きいロボット見失うはずがないし、近づかなくても位置がわかる。
すぐに自転車に跨る。
巨大な足音を出し地面を揺らしながら進むロボットの後ろでゆっくりと自転車をこぎだす。
辺りは真っ暗で、ロボット目が放つ赤い光だけが頼りだった。
崩れた廃墟に、周りの木々、左右に顔を振りながら動くロボットに赤く照らされる。
アスファルトの道に開いた足跡を避け、あくびをする。
「急ぎたいけど、こいつがいないと道が見えないから危ないしなぁ」
焦る気持ちが昨日から止まらない。
はやくCAREに会いたい。
最初は怖かった巨大ロボットの足音に慣れるころ、夜が明けてきた。
私の進む方向、東の雲が白く光る。
強い向かい風が吹く中、ロボットが進行方向を変えた。
一気に道を逸れ、雑木林を突き進んでいく。
「えぇ~...」
戸惑いながらも後ろをついていく。
下を見ると小さな足跡もついている。
それも、一つだけではなく何個もついている。
複数のロボットがここを通ったのだろう。
数十分雑木林を進み続け、目線の先に開けた場所が見えた。
やっと外だと安心した。
しかし遠目に見える景色が明らかにおかしいことに気づいた。
「ん?ちょちょちょ...え?!」
雑木林を出る一歩手前で自転車を止め、木に体を隠しながら顔を出す。
工事用の巨大ロボットが一人で歩いていく。
「なにこれ...」
地平線が見えるほどのまっさらな空間に、何十万体もロボットが並んでいる。
「...........?」
遠くのほうに東京駅が見える。
よく見るとロボット達は東京駅を囲むように並んでいる。
東京駅の横?というか東京駅が変形しているのか戦前と形が変わっている。
明らかに違う。
あれはなんなんだ?
というかそもそもこれは何なんだ?
「ザザザ...ザザ...実験...二号...聞こえるか?」
雑木林の中に隠すように置かれたスピーカーから声が聞こえた。
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