第14話

勝手に人工知能が暴走して戦争を起こしたと思っていたけど、

ロボット達に人間を抹殺するよう指示した人間がいるのか?


もしいるとしたら何のために...


指示を出した人間が自分の事を殺すよう指示を出すわけがない。

今も生きているはずだ。


あの声の主が犯人なのか?


ゆっくりと前にいるロボットを追うように進みながら考える。

自転車の軋む音でバレないように自転車を降り押し進む。


いつの間にか曇っていた空。

不気味だ。


このまま数日進めば東京に着く。

もし黒幕が本当にいるとしたら、東京にいる可能性が高いと思う。


全国に散らばるロボットを東京に集めて何をする気かはわからないけど...

人間である私がこのまま進んで大丈夫なのだろうか。


ロボットが東京に集まっているのだとすると、明らかに危険性は高い。

でも、CAREがいる可能性も高い。


「う~~~~ん」

歩みを止め下を向きながら目をつぶり頭を抱える。

本当に困った。


別に私は黒幕が本当にいるかどうかなんかに興味がない。

ただ、CAREとまた静かに沈んだ世界を生きたいだけだ。


自転車を押して道から外れる。

自転車を止めて崩れた廃墟の柱の部分に腰を下ろす。


曇り空の左側、少しだけ見える空が赤色に染まっている。

かなり長い間悩んでいた。

もう夕暮れだ。


私は危険を冒してでもCAREを連れ戻す覚悟を決めた。

私は生きたいわけじゃない。

CAREと一緒に生きたいんだ。


覚悟を決めたはいいものの、もうすぐ夜が来る。

今日はここで止まるしかない。

進みたい気持ちを必死に抑えながら、屋根も壁のない廃墟の柱に背を預けランタンを点ける。


「ふわぁ~」

気持ちとは裏腹に体は正直だ。

あくびが止まらない。


今日はもう眠りに着こう。

いつもより早いが宵の口、私は眠りにつくことにした。


眠りについて数刻、いつも見る悪夢を今日は見なかった。

その代わり、CAREが遠くにいく夢を見た。

初めてこんな夢を見た。


「待って!!」

目を覚ますと、悪夢を見た時より汗をかいていた。

今まで見たどんな夢よりも怖かった。

戦争の時の悪夢は辛い、悲しいが先に来たが今回の夢は怖くてたまらなかった。


今日はもう眠れないだろう。

怖くてもうひと眠りなんてできる気がしない。


もたれていた柱から体を浮かし少し右に逸れ、仰向けに寝転がる。


「星、見えないな...」

曇った空を見つめる。


ガシャン...ガシャン...


「...?」

足音だ。

すぐに起き上がり、辺りを確認する。

目の前を通る道路の左側、かなり奥に巨大な何かがいる。

こっちに近づいてくる。


曇っているせいで、月明かりが通っていない。

真っ暗な夜、赤い光が近づいてくる。

恐らくロボットだが巨大すぎる。

道の横に生えているイチョウの木より大きく見える。


「え......?」


ドゴン...ドゴン...‼


影が近づいてくる。












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