第5話
「んあ...眩し」
朝が来た。
CAREがいないからいつもより遅くに起きてしまった。
太陽は西にちょっと傾いている。
昼前ぐらいだろうか。
「おはようけーちゃん...」
返事は帰ってこない。
「探さなきゃ」
重い腰を上げ伸びをする。
今日は家に帰らずCAREを探してみようと思う。
正直このまま一人で生活するのは精神的に不可能だ。
リュックに入っていた水を出し口をゆすぐ。
雨水を下に流すための排水溝に吐き出す。
ついでに顔を洗い、階段を下る。
上がるのは大変だったけど下るのは簡単だった。
5,6分で地上に着き、降りてきた階段を見上げる。
「高いな~」
ガシャン...ガシャン...
!!
急いで階段の下に身をひそめる。
ロボットだ...
この辺にもまだいたのか...
.................なんだこのロボット?
いつものひたすら街を周回しているものや、いまだに殺すための人間を探しているものとは明らかに動きが違った。
そうだ!!
リュックから急いでコンパスを出す。
コンパスを見るとロボットは東に向かっている。
なんで東に向かっているんだ?
誰かが指示したのか?
まだだれかが生きているのか?
ガシャガシャガシャ!!
「うわっ!!」
もう一台のロボットが真後ろに迫っていた。
でも私には目もくれず進んでいく。
方向はさっきのロボットと同じ東だ。
...............CAREも東に向かったのか?
まったく見当もつかなかったCAREの居場所に一つの可能性が浮かんできた。
誰かが東に向かえと指示を出す電波を出したのだろうか...
そういえば昨日の頭痛と数字は何だったのだろうか。
なんか難しい数字が勝手に流れてきたのは何だったんだろう...
「東経139度45分53秒、北緯35度40分39秒」
あれ...?
思い出せる。
なんでこんな難しい数字を覚えられたんだろ。
確かこの数字って、場所を表しているはず...
CAREがいたらなぁ...
ショッピングモールの中に地図、なかったっけ。
昨日と同じ入り口から行こう。
パリン...!ジャリ...ジャリ...
割れたガラスが飛び散っている入り口を抜けショッピングモールに入る。
昨日はあんなに明るかったのに...
暗い廊下を抜けショッピングモールを見て回る。
一階は食品売り場、コスメ、アクセサリー屋ばかりで地図らしきものはなかった。
壊れて動かないエスカレータを使って二階に上がる。
二階は雑貨屋が多かったはず...
二階を歩き回るとボロボロになったおしゃれな雑貨屋の一番奥の壁に
ぼろぼろになった地図がかかっているのが見えた。
本当にあった。
正直諦め半分で探していたが本当に見つかった。
それにただの地図じゃない、グラフが付いている。
CAREを失うという最大級の不幸に見かねた神様が幸運を分けてくれたのだろうか。
「えーっと、東経13..9度45...分53秒...北緯35...度40分3...9秒...」
指でなぞりながら場所を探す。
指は東に動いていく。
..........あった。
「東京だ...」
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