第3話

あの日を思い出して体が震える。


ピピピ...


真っ赤な目が小さく収縮し、こちらを睨んでいる。

なんだろう?


「実験体二号...攻撃非対象...」


実験体二号?

訳のわからないことを口走っている。

おそらく何年間もここに放置され、壊れてしまったのだろう。


「ほっとこうけーちゃん」


このロボットはもう壊れていて動けない。

それに、これ以上こいつを見ていると怒りのような何かを抱きそうになる。

胸に手を当てて心を少し落ち着かせてから、また街に向かって歩き始めた。


二時間ほど道路を歩いているとようやく町が見えた。

国が崩壊する前、おじいちゃんに車で連れてきてもらっていた街だ。

遠目で眺めると、すべてが沈んでいる様子はないようだ。


「はぁ~やっと着いた」


街についてすぐに苔むした公園においてあるベンチに座った。

太陽は少し左に傾いている。

おそらく昼前だろう。


「お昼ごはん食べよっか」


「カシコマリマシタ」


少し早いが歩いたので早めのお昼ご飯にしよう。

年季の入ったリュックサックからいつものレーションを取り出す。


「今日も味はしないね」


「ワタシに味を感知スル機能はアリマセンノデお答えカネマス」


レーションを食べ終え十分ほどゆっくりした後、椅子から立ち上がった。

この大きな街は半分ほどのビルや建物は崩壊していたが、

巨大なショッピングモールや残っているビルも多数あった。


私は缶詰や乾パンを探したかったためショッピングモールに向かった。

ショッピングモールの入り口だった自動ドアはボロボロになっていた。

割れたガラスの間を抜けショッピングモールの中に入る。

中は崩れた壁の隙間から入る日の光しかなく、かなり暗かった。


「けーちゃん、電気つけてくれる?」


「カシコマリマシタ」


CAREは目の部分が光り懐中電灯にすることができる。

光はかなり強く、そこら辺の懐中電灯とは比べ物にならないほどだ。


崩れた化粧品売り場だったものや、恐らくアクセサリーショップだった物が

立ち並ぶ廊下を抜けると吹き抜けになっているモールの中心部にたどり着いた。

吹き抜けの天井は崩れていて、中心部においてあった樹が崩壊前の5倍は大きくなっていた。


中心部からモール内を見渡すと書店が見えた。

書店内は棚が倒れ、店内はぐちゃぐちゃになっていたがまだ読める状態の本も残っていた。


ガサ...


「ん?」


床に新聞が落ちていた。


「いつのだろ」



20XX年8月16日


ロボット工学の第一人者シマ博士遺体で見つかる。

シマ博士の遺体は自身の研究所内で弟子の研究員に発見された。

遺体は綺麗な状態であったが脳がなかったと報告された。












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