第3話 節分/『配役』

独身では縁がなかった行事を楽しむ。

「鬼は外!」

妹を守ろうとする男の子の父にならなければ、五月五日は年一回きりの柏餅を食べる日だった。去年は泣き喚いているだけだったのに笑顔で豆を投げる女の子の父にならなければ、三月三日はただの平日だった。

今は豆をぶつけられる痛さを存分に味わおう。




◆2月3日は「節分」/2024年2月3日作

#140字小説 『配役』

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