第7話 次の日
次の日。
「お嬢様、荷物が届いていますわ」
「え、私あてですの?」
「はい」
従女が私の部屋にきて、そう告げてきましたわ。
傷物令嬢の私に荷物だなんて、一体どういうことでしょうか。
それに誰が送ってきたのでしょうか。
疑問がつきませんわ。
「とりあえず、その荷物をこちらに持てきてくださる?」
「はい」
従女に指示し、少し待っていると──
「よいしょ!」
「ほら、そこ!! 扉に擦れていますよ」
「あ、ごめんなさい!!」
5人の従女が、巨大な箱を持ってきましたわ。
人であれば5人くらいは軽々と入れそうなほど、巨大な箱。
そんな物が床に擦れ、扉に擦れ。
私の部屋に運ばれようとしていました。
「ちょ、ちょっとお待ちください!!」
「? どうかしましたか?」
「どうかしましたか……じゃないですわ!!」
「???」
なんでみんな、頭にハテナを浮かべていますの!!
こんなに巨大な箱が私の元に運ばれているのですから、少しは不信感を抱きなさい!!
そんな言葉を散らしていると、従女の1人がクスッと笑い出しましたわ。
「何がおかしいんですの?」
「そうですね、お嬢様。送り主を確認してもらえれば、私たちが違和感や不信感を抱かずにこの箱を運んだ理由がわかりますよ?」
「???」
今度は私が頭にハテナを浮かべますわ。
「それは一体……?」
「とりあえず、部屋に運びますね」
「あーッ!! 擦れていますわ!!」
私のお気に入りカーペットや扉。
その他もろもろを粉砕し、巨大な箱が私の部屋に入ってきました。
「あ、ああ。わ、私の部屋がズタボロに……」
「お嬢さま、きっと中身を確認していただければ、その怒りも冷めますわ」
「まったく、本当ですのね……?」
半信半疑のまま、送り主を確認いたしますわ。
「えっと……『ユヴィリティ・ファレト・グリーンズ』……って第一王子じゃありませんか!!」
この巨大な箱は、第一王子の贈り物ということになりますわ。
昨日婚約を申し出てくれたのに、こんな邪魔な箱を送ってくるだなんて……本当は昨日の熱烈な求婚は嘘だったてことですの……?
「悲しかったり、イラついたり……感情の波が激しいですわ……」
「お嬢様、中身を確認してください」
「……どうせ、ムカデやクモがビッシリと詰まっているんですわ。私への嫌がらせですもの、そうに決まっていますわ」
といいつつ、私は箱を開きます。
一縷の期待にかけて。
そして、箱が開かれた時、そこにあったのは──
「まぁ──綺麗ですわね」
そこにあったのは、箱いっぱいのギン花。
純白の花びらが並ぶ景色は、銀世界のようだということからついたお花ですけれど……。
「たしかに、綺麗ではありますわ。私もギン花は好きですし」
けれど。
「さすがに……これだけを送ってくるのは、少々鬱陶しいですわね」
部屋が壊れるほど大量に送ってきた花。
私も女ですから、殿方からのプレゼントは素直に嬉しいですわ。
ですけれど、さすがにここまでは必要ないですわ。
もっと常識の範囲内で、プレゼントして欲しかったですわ。
「明日……ちょっとクレームを入れてきましょうか」
青筋を立て、私は怒りに震えていましたわ。
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