第8話 新しい攻撃手段

新しいPTでの初のダンジョンとなり、集合場所には獣人、ハーフエルフ、戦士がそろっていた


「おう、またせたな」


「はい、今日からよろしく願いします」


「お願いします」


ハーフエルフ以外はまだレベル1のようだが、全員ダンジョンには4回以上は既に潜っているようだ


「荷物は僕が持ちますので」


それと僕にとって初めて弓矢を試す日となっている


ミラのおかげで、食べ物、宿代でお金がかからなくなった為にダンジョンで稼いだお金は装備に回せるようになった為に、今まで貯めたお金+、少しミラが出してくれたことにより弓矢と矢を5本買う事ができた


バックパックを背負っている為に腰に矢筒をかけて、弓を握る


「あの、あなたは何の魔法が使えるんですか?」


「僕は霜渡りです、なので戦いに魔法は使えません」


「霜渡り・・・わかりました」


ハーフエルフの魔法使いがそう聞いて、いつも通りの返答をする。いつも通り、がっかりとされる反応だ


隊列を組んでダンジョンへと降りていく


B1階ならバーニーが武器をもってさえいれば、他の前衛がレベル1だろうと何とかなると思っている


今日はB1階で2回ほど戦闘をし、帰還予定だ


ダンジョンに潜り30分ほど歩くと早速、魔狼の群れと遭遇した


「敵だぞ、構えろよ」


一応今回のリーダーはバーニーとなっている為に、バーニーは簡単にだが前衛二人に指示を出すと、自分が相対する敵に集中した


「ファイアボルト!」


隣にいる、ハーフエルフが魔法を行使すると炎の礫が魔狼1匹を焼き焦がす


エルフは人間よりも魔力が高く、同じ魔法をつかったとしても威力が高くなる傾向だ。ハーフエルフだとしてもそれは同じ事のようでハーフエルフの魔法で1匹を瞬殺する


「すごい・・・」


その光景をみて思わず賞賛の声が漏れてしまう


魔狼の群れは4匹が3匹となり、バーニーも首を斬り落とし残り2匹


獣人と戦士は手こずり、噛まれたり引っかかれたりと魔狼相手にも手こずっている様子なのはレベルが1だからだろう


僕は1本の矢を構えると、獣人が戦っている魔狼に狙いを定め、矢を射る


その矢は狼にあたることなく、通路の先に吸い込まれていく


「くそっ!次!」


試し内の練習はしたが、動いている相手に対しては初めてのことだった


もう一度構え直し


深く深呼吸をし・・・


2発目に放った矢は魔狼の左足に刺さる


「ぎゃん!」


明らかにスリングとは違う手ごたえを感じる


「当たった!」


動きの遅くなった魔狼をバーニーが顔を突き刺し、残り1匹もハーフエルフが焼き焦がしていた


「はぁ・・・はぁ・・・」


獣人と戦士はその場にへたり込み、バーニーも軽い息切れを起こしているために座り込んだ


ミラが獣人と戦士に回復を施し、僕は水を差しだした後に矢の回収とお金の回収だ


通路の先に飛んでいった矢も、地面にころがっている為に矢は2本とも無駄にする事がなくて助かる。


矢1本で20Gだ。5本で100Gもする為に1本たりとも無駄にすることが出来ない


お金の回収を終えると、みんなの場所に戻る


「私は魔法スロットが尽きました」


「私もです」


ハーフエルフとミラがそう告げる


「当面はサマリアとバングルがレベル2にならなきゃ話にならねーか」


「申し訳ない・・・」


「ごめんなさいにゃ」


「いや、これもPTだ仕方ねーよ。今日は撤収だな」


今日のダンジョン攻略の終わりをバーニーが告げると、僕らはダンジョンを帰還したのだった


新メンバーの3人と別れると、当たり前のように僕らに付いてくるバーニー


「ミスリアの魔法は強かったな」


「ですね、あれならB2階でも活躍できそうですね」


「流石エルフの血を引いているだけはあるわね・・・なんでバーニーついてきてるのよ」


「いいだろ?今日も3人でたのしもうぜ」


ナチュラルにバーニーはミラにセクハラをしながらそう言う


「・・・いやよ、疲れているのよ」


「ククク、そうかよ。まぁ飯だけたべさせてくれよ」


「食べたら帰りなさいよ」


僕としてはミラの相手をバーニーがしてくれるなら、それはそれで助かる。正直毎日は僕の体が持たないのだ


ミラに飼われている以上、自分の責務だと思っているが・・・楽が出来るならそれはそれでラッキーな為に、バーニーがミラの家に入り浸ることに僕は反対はしない


2人が言い合いのようにイチャついているのを後ろからついて行きながら、今日の戦闘での手応えを噛みしめていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る