まもちゃんが好きなのは……【六花】

最近、怪しいと思ってる。

まもちゃんが好きなのは、美奈子なんじゃないかって……。

でも、恭平君が美奈子との結婚を決めてくれて安心した。

まもちゃんを美奈子に取られたいですむから……。

まもちゃんだけは、絶対に渡したくない。

だから、結婚したかった。

結婚したら、そう簡単には別れられない。


「赤ワインって、まだ残ってた?」

「うん。新しいのあったよ」


まもちゃんは、私と手を繋いでるのにチラチラと美奈子を見てる。

まもちゃんが美奈子を好きなのわかってる。

だけど、渡さないから……。


「何作ろうかな?パスタでいい?」

「うん」

「六花は、クリームパスタがいい?」

「まもちゃんが作るのだったら何でもいいよ。美味しいから」

「そう?」


私とまもちゃんの思い出に美奈子が入ってきて欲しくない。

だから、まもちゃんが私を手放したくなくなるように頑張るの……。

さっき、恭平君にまもちゃんが美奈子を好きだって言いそうになった。

直接、まもちゃんに言われたわけじゃないのに……。


だけど、二人でトイレ何かに行くから……。

もう、そんな関係になったのかと思った。


「どうした?六花」

「ううん。まもちゃん、好きだよ」

「何だよ、急に……。俺も好きだよ」


二人で居る時は、ちゃんとまもちゃんは私を見てくれてる。

美奈子がいなかったら、ちゃんと私を見てるから……。

私の方がまもちゃんに愛されてる。

美奈子より私の方が愛されてる。


「まもちゃん……ずっと一緒にいようね」

「どうした?改まって」

「わかんないけど、言いたくなったの……」

「そっか。うん、一緒にいよう」


まもちゃんがニコニコと笑ってくれる。

大好き。

大好き。

愛してる。


家に帰宅して、まもちゃんとキッチンに一緒に立つ。


「適当にソファーでくつろいでて」

「おう!ありがとう」

「何か手伝う?」

「大丈夫だよ!美奈子は、お客さんなんだから」

「それもそうだね」


美奈子にこの場所を取られたくない。


「まもちゃん、お湯沸かす?」

「うん、お願い」


大きな鍋をとって、お湯を沸かす。

まもちゃんの隣にずっといるのは、私。

美奈子じゃない。

だから、まもちゃん。

私と離婚しないで。


「まもちゃん……嫌いにならないで」

「どうした?酔ってる?」

「まだ、お酒なんか飲んでない」

「そうだよな」


まもちゃんは、手際よく玉ねぎを切ってる。

玉ねぎの匂いがツンとして、涙が流れてきた。


「大丈夫、嫌いにならないし。別れないから」

「本当に?そんな約束出来る?」

「出来るよ!だって、俺には六花が必要だから……。六花とずっと一緒にいたいから」


まもちゃんの言葉に安心する。

大丈夫。

美奈子に、まもちゃんを取られない。

こうやって、Wデートしてたら二人で会う事もないんだから……。

大丈夫。



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