付き合ったのも、結婚したのも……【美奈子】

どっちが告白したんだったかな?

恭平と私。

別に、そんなのどうでもよかった。

だって、恭平といるとまもるんが私を見てくれるんだから……。


「恭平が好きじゃないの。私は、六花が好きなの」


確かに、六花は好き。

でも、別に恋のそれではない。

いつだったかな?

まもるんに近づきたくて、嘘を言った。

もし、まもるんが恭平を好きじゃなかったら……。

これは、無駄な告白。


「そんな気がしてた。俺も恭平が好きだからわかるよ。恋のそれだから……」


やっぱり、好きな人の好きな人はわかる。

まもるんの告白に安堵した。

よかったって思った。

これで、私はまもるんの傍にいても怪しまれないって……。


まもちゃん、まもちゃんって六花が言うのがムカついた。

だから、何度目だったかな?

二人で会った時に、まもるんって呼んだ。



「まもるんって何かダサくない?」

「大丈夫、ダサくないよ」

「美奈子ちゃんって面白いね」

「そう?」

「一緒にいると気を遣わなくていい。同性が好きってバレたら引かれるから、今まで誰にも打ち明けられなかったけど。同じ悩みを持ってるから楽になれる」

「それならよかった」


二人で会う時、まもるんが見てるのは私。

Wデートをわざとしたいっておねだりするのも、まもるんが恭平を見るから。

今日だって、指輪を見に来たのもわざと……。

少しでも、まもるんと居る時間を増やしたかっただけ。

六花より、私を見つめる回数を増やして欲しいだけ。


「美奈子、結局指輪決めらんなかったな」

「うん。せっかく二件いったのに」


可愛いい顔をしたり、膨れっ面をしたり、何だって恭平には出来る。

だって、好きじゃないから……。

体の相性がいいかどうかはわからない。

だけど、そこを努力したのは恭平を離さない為だった。

結婚を決めてもらわなきゃ、まもるんと二人で会う口実がなくなる。


「あーー、腹減った。晩御飯、そっちはどうする?」

「まもちゃんは、どうする?」

「うーーん。外食ばっかりはしんどいから家で食いたいかな」

「衛が飯作るの?」

「今日は、俺の担当だからね」

「食いたいなーー。衛の飯」

「別にいいよ!引っ越し前で片付いてないけど来る?六花は、大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「美奈子は?」

「大丈夫だよ」

「じゃあ、決まりだな」


こうやって、勝手に恭平はまもるんと約束してくれるから好き。

そこだけが、唯一好きな所。

悪いけど、私は恭平と別れるつもりはない。

だって、別れたらまもるんと会えなくなる。

会う理由がなくなる。

こうやって、視界に入れてくれなくなる。


「明日、また指輪見に行く?休みだから」

「うん。そうだね。恭平は、どんなのがよかった?」

「ネットとかも見てみようか」


私と恭平が並んでいるのをまもるんが見てる。

それだけでいい。

それだけで幸せ。


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