第1章『ふたごともども、悪しからず』(6)
慌ただしくカフェを飛び出し、右の方を見れば懐かしい姿があった。楽屋口の前に伸びた出待ちの列を、誰にも呼び止められることなく涼しい顔で通過して行く。
志水は早足でそれを追いかけ、劇場の敷地の出口から左方向にしばらく歩いたところで、彼の背中に「神谷」と呼びかけた。しかし反応はない。
少し速度を上げて神谷を追い越し、今度は顔を見ながら「神谷、ひさしぶり」と声をかけた。神谷は不自然なほどに一瞥もくれず、ただ真っ直ぐに歩き続ける。
こりゃあ駄目だと、仕方なくそのままついて行くことにした。
途中で神谷はコンビニに立ち寄った。二リットルの烏龍茶と一キログラムの氷を購入して、店を出てまた歩きだす。氷を買ったということは、このまま家に向かうのだろうか。神谷の自宅はこの辺りではなかったはずだが、三年の間に引っ越したのか。しかし、一流俳優が安心して住めそうな高級マンションは近くにはない。駅へ向かう方面とも違うし、タクシーを呼ぶ気配もない。
荷物が重くなったのか、神谷がむっとした表情でコンビニの袋を押しつけてきた。相変わらずの身勝手だ。口を聞いてくれるつもりはまだないらしいが、志水は「ああ、持つよ」と大人しくそれを受け取った。
無言のまま辿り着いたのは、二階建ての建物だった。一軒家くらいの大きさだが、住宅ではなさそうだ。神谷は慣れた様子で裏手に回り、ポストのダイヤルを合わせて鍵を取り出した。一階の裏口から中に入る神谷に、志水も続く。
積み上げられた段ボールやロッカー、小さなテーブルと椅子などが雑然と並べられた部屋を抜けると、扉の先にはバーのような空間が現れた。構造から見るに、先程の部屋はこの店のバックヤードだったらしい。
神谷は店の奥の棚からグラスを二つ取り出した。客席側に戻って来て、ガツンと音を立ててカウンターテーブルに置く。背の高い椅子にどかんと座り、肘を突いてこちらを向いた。
「で?」神谷がドスの効いた声を出した。「どうして三年も連絡くれなかったわけ?」
志水は神谷の隣の席に腰かけた。コンビニの袋から氷を取り出して開封し、二つのグラスに数個ずつ転がし入れる。烏龍茶のペットボトルを開けて、グラスに注ぎながら、静かに息を吐いた。
「すまなかった」神谷の目を見て言った。その瞳が潤んでいるように見えて、すぐに視線を外す。「色々あって、気力が湧かなかったんだ」
「その『色々』を説明してくれる気はなさそうだね? オレには聞く権利があると思うけど」
「ごめん」傷口に触れてしまわぬように慎重に、感情を押し殺して言う。「まだあまり、話す気になれない」
ふん、と神谷が鼻を鳴らした。そっぽを向いたまま烏龍茶を口に運ぶ。「今日はなんの用なの?」
「俺の用件は後でいい。それどころじゃなくなった」志水はグラスを持ち上げ、烏龍茶を一口飲み込んだ。「おまえ、どうしてそんなに落ち込んでるんだ」
「はあ? なんだよそれ。落ち込んでないし」
「俺に嘘をついても無駄なことくらい分かってるだろ。舞台で見た時から様子がおかしいと思っていたが、会ってみて確信した。何かあったんだろ? 話してみろよ」
「キミは自分のこと少しも話してくれないくせに」
「それは、いずれまた」と言ってはぐらかす。「今はおまえの話の方が、緊急性が高い」
志水がそう言うと、神谷は顔の真ん中に皺を寄せた。不機嫌そうに音を立ててグラスを置き、溜め息をつく。
「今更友達面したって遅いんだよ。三年間もオレのこと放ったらかしにしたくせに。もうキミに話すことなんて何もない。手の施しようがない。手遅れだ」
その拗ねた様子が懐かしく、思わず微笑んでしまう。「そう言わないでくれ。どうせおまえのことだ。悩むとしたら芝居のことくらいだろ」
「分かんないじゃん。マリッジブルーなんてこともあるかもしれないよ」
「あるのか」
「ないよ!」神谷が怒ったように叫んだ。相変わらず理不尽な奴だ。「芝居のことで正解だよ」
神谷は身体をカウンターの方に向けた。言葉を選んでいるのだろうか、しばらくコップをカラカラと弄んだ後、徐に口を開いた。
「オレもう、二度と芝居できないかもしれない」
「は?」言っている意味が理解できず、思わず聞き返してしまう。
「スランプなんだ」と神谷は項垂れた。
「スランプ? おまえが?」
「そうだよ。何かおかしい?」
「天才俳優のおまえでもスランプなんかになるんだな」
「茶化さないでよ! もう、やっぱり話さなきゃよかった」
「いや、すまない。少し驚いただけだ」
正直なところ、神谷がスランプとは信じ難いものがあった。神谷にとって芝居とは、技術がどうこうとかそういう次元にあるものではない。例えるなら食事や睡眠のような、もっと本能的な衝動に近いものだったはずだ。それができなくなってしまうとは、一体どういう状態なのだろうか。いや、むしろ理論の上に成立している技術ではないからこそ、感覚が狂ってしまったときに全てが崩れてしまうものなのかもしれない。
「しかし、今日は普通に舞台に立っていただろう」
「そりゃあ、キャンセルなんてできないから仕方なく出演したけどさ。あんなの芝居じゃないよ。実力の半分も発揮できてない」
「そうなのか? 結構面白かったけどな」
面白かった、という言葉に神谷がピクリと反応したのを、志水は見逃さなかった。だが神谷は「それは脚本が良いだけだ」と捻くれたことを言う。
「キミだってさっき、舞台上のオレの様子がおかしかったって言ったじゃない。素人のキミにまで見抜かれるなんて、オレはもう終わりだよ」
「いや、おまえの異変に気付いていたのは観客の中で俺だけだったと思うぞ」
「そんなの自惚れだ」
「そうだな自惚れだ」
「どうせ明日になったら『神谷、精彩欠く』みたいなタイトルの評論家の観劇レポートが大量に出回るんだ」
「評論家は知らないが、少なくとも一緒に観たおまえのファンは大喜びしていたけどな」
「それは、その子に見る目がないだけだよ」
「おい」グラスを置くと、コン、とテーブルが音を立てる。「自信を失っているからって、喜んでくれる人のことを蔑むようなことを言うのは違うだろう」
「それは」神谷は一瞬、瞳をこちらに向けた後、すぐに目を伏し、俯いた。「ごめん」
かなり酷い状態だな、と神谷の様子を見て思う。差し伸べられる手を振り払い、自分を傷つける言葉ばかりを聞き入れる。その振る舞いによって自身も周囲の人を傷つけていることに気付いていない。
「いつからなんだ。何かきっかけがあったのか?」芝居のこととなると、あまり力にはなれないかもしれないが。
「うん。もう四ヶ月くらい前になるかな。ある映画の撮影中に倒れちゃったんだよね。昔の嫌なこと思い出して、パニック起こしちゃってさ。それ以来、また同じようになるのが怖くて、上手く役に入れないんだ」
神谷はテーブルの上に身体を伏せ、顔をこちらに向けた。闇しか映さない真っ黒な瞳を見ていると、こちらまで暗い気分になってしまいそうだった。
「オレってさ、自分で言いたかないけど、使い勝手の良い役者じゃないんだよ。要領悪いし、我儘だし、リーダーシップもなけりゃ、後輩の面倒も見ないし、プロモーションにだってろくに協力しないし」
「まさか自覚があるとは」
「『そんなことないよ』って言ってよ」
「そんなことはないと思うぞ」
「思ってもないこと言わないでよ!」
恐ろしく理不尽な物言いに返事をするのも面倒で、志水は烏龍茶を一口啜った。氷が溶けて、上澄みの方はもう味が薄くなっている。
「それでもオレがこれだけたくさんの作品に使ってもらえてるのは、偏に芝居が良いからなんだよ」
「自信があるのかないのか分からない奴だな」
「それなのに、唯一の取り柄である芝居も満足にできなくなっちゃってさ。芝居のできないオレなんて、役立たずのゴミ同然だよ。誰にも必要としてもらえないし愛してもらえない。オレはこの先、一生ひとりぼっちで過去の栄光に縋りながら生きていくんだ」
「あのな」どこから指摘すべきか、自虐的に笑う神谷の顔を見ながら思案する。「今おまえにこういう言葉は響かないんだろうが、分かってないようだから言ってやる。役者ではないただのおまえも、結構愛されてるぞ」
「はあ? 誰にさ」神谷は顔を顰めた。
「例えば、三年振りに再会した親友とか」
「オレの知らない人だなあ」
「兄貴面したマネージャーとか、父親面した監督とか」
「なんでキミがその人たちを知ってるのさ」
「おまえがしょっちゅう話してたんだろ。
はあ、と神谷が息を吐く。「二人とも仕事だからオレの面倒を見てくれてるだけだよ。監督に至っては、今回の件で見放されたっておかしくないし。オレのせいでどんどん撮影押して、すごく迷惑かけてるんだから」
「かけているとすれば、それは迷惑じゃなくて心配だな」
「だったら何? 誰がどう思ってくれていようと、オレが芝居をできないことには意味がないんだよ。オレには芝居が必要だ」
「なんだ、分かってるんじゃないか」
志水がそう言うと、神谷は「はあ?」と目つきを険しくした。
「おまえの抱えている問題の根本は、スランプだろう。上手く行かないことがあって落ち込むのは仕方ないが、落ち込んでいるときに難しいことを考えるのはやめろ。精神的に弱った状態で、自分の人間性だの存在意義だの人生だの、正答のない巨大な問いに思考を巡らせるのは、余計に落ち込む理由を探すようなものだ。そんなことでいくら頭を悩ませたってスランプは解決しないだろう。その間にスランプを脱する方法を一つでも試した方が、遥かに有益だ」
「そんなこと言われてもさあ。分かんないんだもん、どうしたらいいのかなんて」神谷が泣きそうな顔になる。「そこまで言うならキミが教えてよ。オレはどうやったらスランプから抜けられるのさ」
「俺にそれを問うほど追い詰められているとは」
「藁にも縋る思いなんだよ」
「俺は藁か」
「芝居に関しちゃ藁でしょ」
そりゃあそうだ、と言い、グラスに口をつけながら考えてみる。「まあ、藁なりに月並みなことを言わせてもらうと、行き詰まったときは、結局初心に帰るのが一番早いというのはよくある話だな」
神谷は溜め息をついて項垂れた。「それ、色んな人に言われるんだけどさ。オレ子供の頃から役者やってるから、デビューした時のことなんてほとんど覚えてないんだよ。オレには帰るべき初心がない」
「違うぞ」
「え?」
「おまえが帰るべきはそこじゃない。もっと前だ」志水ははっきりとそれを覚えている。
「は?」しかし神谷はピンと来ていないようだ。
「おまえ、そもそもどうして役者になろうと思ったんだ?」
「それは」神谷が斜め上を見上げた。「さっちゃんが教えてくれたからだ。役者なら子供でもお金を稼げるって」
「金銭面の話じゃない。おまえ自身にも、役者をやってみたいという気持ちがあったはずだ」
神谷は困惑を浮かべるばかりだ。その様子に驚き、志水は目を丸くする。忘れたと言うのか。あの強烈な出来事を。
「覚えてないのか。おまえの原点は、ミミズごっこだ」
「ミミズごっこ?」
給食を食べ終えたクラスメイトは、ほとんどみんな校庭に遊びに出てしまった。入学して一ヶ月も経つと、晴れた日のこの時間に教室に残るメンバーは大体固まってきた。いつも輪になって手遊びやお絵描きをしている女子のグループが一組と、一人黙々と午前中の授業で出た宿題を片付ける志水だ。今日はピアノの稽古があるから、家に帰ってからのんびりと宿題を解く時間はない。
開け放たれた窓から子供たちのはしゃぐ声とボールを蹴る音が聞こえる。ふと外に視線をやると、思わぬものが視界に入り、慌てて窓に駆け寄った。
やはり見間違いではない。花壇の脇に人がうつ伏せに倒れているのだ。顔は見えないが、あの真っ黒な癖毛と首元のよれたTシャツは、クラスメイトの神谷君だろう。今日は夏が来たみたいに暑いから、熱中症になってしまったのだろうか。神谷君はいつも水筒を持っていない。
志水は校舎を飛び出し、倒れた少年の元へ駆けた。
「神谷君? 神谷君! 大丈夫?」神谷の背中を叩きながら声をかける。額に手を当ててみたが、熱くはない。熱中症ではないのか。急病か? 先生を呼んだ方がいいだろうか。
すると、神谷が掠れた声で何かを呻いているのに気付いた。声が小さくて聞き取れない。
「神谷君、何? もう一回言って」
神谷が必死に声を絞り出す。「みず、みず」
「水? 喉が渇いたの? 頑張って水道まで歩ける? すぐそこだから」
「ちがう。みず、かけて」神谷の声が、苛立ったように少し大きくなった。
「え? 水をかけるの?」どうしてそんなことを頼むのだろう。
「はやく、みず」呻き声は段々と叫びに変わっていった。「ああああ、はやく。いたい、くるしい!」
その鬼気迫る様に、志水は怯えながらも立ち上がった。早く水をかけてあげないと。
水道の横に転がっていた大きなバケツを拾い上げ、水をいっぱいに注いだ。重たくて持ち上がらない、と挫けそうになったが、弱音を吐いている場合ではない。力を振り絞り、ほとんど引きずるようにバケツを運ぶ。神谷の上で、バケツをひっくり返した。
「はああああ」神谷は苦しみから解き放たれたように大きく息を吐いた。緊張していた身体からは力が抜け、表情も穏やかになっている。「ああ、きもちいい。たすかったあ、ありがとう」
よかった、助けられたみたいだ。志水はほっと胸を撫で下ろした。しかしその直後、頼まれても人に水をかけてはいけない、ということを知ることになる。
数分後、志水と神谷は保健室にいた。ベッドに寝かされているのは志水の方だ。神谷に水をぶっかけたことを担任にこっ酷く叱られ、ショックでお腹が痛くなってしまったのだ。僕は神谷君を助けようと思っただけなのに、先生はその言い分をちっとも聞いちゃくれない。
「ねえ、だいじょうぶ?」神谷はベッドに顔を乗っけて言った。
彼は一体、いつまでここにいるのだろう。身体を拭き、髪を乾かしてもらい、着替えもとっくに終えている。
「大丈夫だから、早く戻りなよ。五時間目、始まってるよ」
もう彼に関わるのは懲り懲りだ。早く追い払ってしまいたかった。
「ねえ、なんだっけ」神谷は志水の顔を指差した。「さ、さ」
「僕の名前? 『さ』だとしたら聡だよ。志水聡。あと、人を指差すのは良くないよ」
「さ、ちゃん」
「『さっちゃん』? 何それ。聡だってば」
「さっちゃん! さっちゃん!」神谷は嬉しそうに叫んだ。
「もう、いいよそれで。僕をそう呼ぶ人はいないけど」
この子は身長こそ志水より高いが、言動は随分幼く見えた。年下の子と喋っている気分になる。
「ねえ、君はあんな所に寝転がって何をしていたの?」
志水が尋ねると、神谷はにぱっと笑った。「みみず!」
「ミミズ? ああ、あれはミミズだったのか。ミミズごっこをしていたんだね?」
「うん、みみずごっこ!」
「どうしてそんなことを?」
「うーん」と神谷は眉を八の字にした。「どんなかんじかなって」
「どんな感じって、何が?」
「カラカラになってるから」
『何が?』という問いに対して理由を答えるのは、どういうわけなのか。少し考えて、「ああ」と理解した。
「つまり君は、干からびていくミミズの気持ちを知りたかったのか」
だからってミミズになり切るという発想は理解できないが。
「うん!」神谷は元気よく頷いた。保健室には似つかわしくないその大きな声が、志水の痛む腹に響く。
「ねえ、僕のことはもういいから、早く教室に帰りなよ。君と話してたら、余計にお腹痛くなってきちゃった。僕、少し眠るから」
「じゃあぼくもねる」神谷はベッドによじ登り、布団に侵入してきた。
「なんでよ。一人にしてよ」
「さっちゃんといっしょ」
「もう、怒られても知らないから」志水は面倒になり、神谷に背を向けて瞼を閉じた。
まったく、わけの分からない子がいるもんだなと、世界の広さに驚く。その子が近い将来かけがえのない親友になることを、志水はまだ知らない。
「あー」神谷は、何かのサイレンかと思うほど長い感嘆の声を上げた。思い出話の懐かしさに気が逸れたのか、心なしか顔色が明るくなっている。「あったねえ、そんなこと。あの時、初めてさっちゃんと話したんだったよね」
「そうだ」志水は笑った。「その時はとんだ変人に絡まれたとしか思わなかったんだが、ある日俺は、おまえの演技力を利用して悪戯を仕掛けることを思いついた」
「ああ、なんか、色々やったよね。溺れた振りして先生をプールに落としたり」
「あれは、今思えばかなり悪質だったな」過去の自分の行いに顔を顰める。「最初はまだ真っ当な動機だった。意地悪な上級生を懲らしめようとしたんだ」
「なんだっけ?」記憶を呼び起こそうとしているのか、神谷は目を細めた。
「おまえをしつこく揶揄ってくる上級生がいただろ。俺はそれに腹を立てて、仕返しをしようと思い立った」その光景が蘇り、にやりと口角が上がった。「体育館裏にそいつらを呼び出して、何もされてないのにおまえが大泣きしてみせたんだ。『やめて、怖い、助けて』ってな。上級生が困惑する中、俺が校内で一番怖い先生をその現場に連れて行った。先生からすれば上級生がおまえを酷く虐めたようにしか見えないが、彼らは本当に何もやっていないのだから『やっていない』と答えるしかできない。話は平行線だ。彼らは散々に叱られ、詰問され、最終的には保護者を呼ぶまでの騒ぎになった」
「あー、やったかも。あれは痛快だったけど、ちょっと可哀想だったな」
「その時だ。おまえが芝居に味をしめたのは」志水はグラスを傾け、喉を潤した。「おまえはさっき、芝居ができない自分なんて必要としてもらえないと言ったな。逆だ。おまえ自身が芝居を必要としているんだ。誰に見せるわけでもなく、ひとりぼっちでミミズごっこをしていたように、演じることはもはやおまえの習性だ。そして、演じることの喜びを、悪戯を通して知ってしまった。おまえが帰るべき初心はそこじゃないのか」
思考が追いついていないのか、神谷はぽかんと口を開けている。
「なんなら、今これから初心に帰ってみようか」
「え、ミミズごっこ? するの?」神谷は困惑顔だ。
「さすがに違う」噴き出しそうになるのを堪えた。「悪戯の方だ。この後、良いカモがここに来ることになっている。ちょっと揶揄ってやろう」
その内容を話してやると、光の消えていた神谷の瞳が、みるみる輝きだした。
おっと、二時間も話し込んでいた。志水は部下に店の住所を連絡した。
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