Play#13 Ex
「ところで、エンドローズ」
「なんでしょう、殿下」
リオンは自然な流れでファーストネーム呼びに移行したが、どうやらエンドローズは流されてくれたらしい。
警戒心が薄くて心配になりつつも、そのチョロさすら今のリオンには愉快に思えた。
「ぼくにふさわしい令嬢になるのはけっこうだけれど……まずは言葉づかいから勉強したほうがいいんじゃないかな?」
「……え゛」
潰れた蛙のような声を出して顔を引き攣らせた婚約者に、リオンはまた笑いを堪えてから優しく諭す。
「エンドローズの言葉づかいは、丁寧ではあるけど……令嬢がつかうにしてはすこし、品がたりないかもしれないね。しょうじき……五つの子でももう少しマシだよ」
ああいけない、すこし言い方に意地の悪さが出てしまった。
まあいいか、彼女には取り繕う必要性をあまり感じなくなってきたところであるし。
それに……こうしてリオンの言葉に一喜一憂するエンドローズを見るのは悪くない気分である。
そう思いながら、みるみる真っ青になるエンドローズの顔を、リオンはにこにこと見守った。
「ご、ごめんなさい!今後勉強しますので……!はっ、というか私、ずっと失礼な態度を……?あ、あんなに偉そうなこと言ったのに……っ」
おや、今度は真っ赤になった。
思えば個の人間の顔をこんなによく見たのは初めてかもしれない。
いや見てはいたが、発汗してるな、とか、視線が細かく変化してるな、とか、貧血気味になったな、とか。
その程度の感想しか抱いていなかったし、それ以外の情報などどうでもよかった。
でも、エンドローズならしばらくは関心を持てそうな気がする。
だってこんなにころころ変わって面白いんだから。
「第一王子にふさわしく、というなら、人目のあるときは気をつけたほうがいいかもね」
「うう……はい……すみません……」
あは、小さくなった。
かわいいなあ。
他人がよくイヌとかネコをかわいいっていうのは、多分こういう理屈なんだろうなあ。
「……でも、第一王子としてじゃない、ただの
だってその方が他と区別がつくし、『対等』っぽくていいだろう?
「い、いやでも、それは……」
王子さまがどうの、とうだうだ言い始めたエンドローズに、リオンは無邪気に笑った。
「王子命令」
「そんな職権乱用ありますか!?」
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