第12話邂逅
「こんなとこ居るのかなぁ…」
私は何か小さくてもいいから手掛かりがないか、淡い期待を抱きながら工場内を散策していた。
「何これ⋯一体誰が?」
工場内を散策すること数分、鋭利な刃物に切られ壊れた木箱を見つけた。
「⋯何かある?」
警戒心を上げ、奥へと進んで行く。
警戒しながらも足早に奥へ奥へと進んで行くと、一つの大きな部屋を見つけた。
「何か⋯⋯いる?」
辿り着いた部屋の中央にある瓦礫の山、その傍にはへたりこんでいる咲奈がいた。
「咲奈!」
へたりこんでいる咲奈の元へと駆け寄り、肩に手を置き声をかける。
「どうしたの?何処か具合悪いの?」
私が優しく声をかけると咲奈は私の顔を見て、口を開いた。
「ごめん⋯⋯なさい⋯⋯私⋯⋯わたしぃ!おかあさんを⋯⋯」
咲奈はそう言い、前にある瓦礫を指差した。
───絶句した。
咲奈の指差した先にある瓦礫の下には⋯⋯お母さんがいた。
「これを⋯⋯咲奈が?」
いつの日か抱いた咲奈への畏怖と嫌悪。
「おねぇちゃん……」
咲奈が此方へ縋るように消え入りそうな声を出して手を伸ばす。
「あっ……」
私は手を取れなかった。
振り払ってしまった。
ただ怖かった。
母を殺した咲奈がただ怖かった。
咲奈の表情は言うまでも無く、悲しみに満ちて今にも泣きそうだった。
私は罪悪感に駆られ、咲奈を抱きとめようと咲奈の元へと近付いた。
───そこで私の意識は途切れた。
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