第9話工場

「もういなくなったかな?」

時間がわからなくなるくらい隠れていた。

「なんなの?あれは」

咲奈を血眼で探すお化けたち。

少しでも視界に入れば視界から消えるまでずっと追いかけてくる。

しかも逃げ切ったと思ったら他のお化けに遭遇する。

「怖いよ……もう嫌だよ……」

咲奈の心は砕けかかっていた。

思い返せば、家を出てから走りっぱなしだった。

「助けて……お姉ちゃん」

咲奈は祈るように、バレないように、掠れそうな声でそう呟いた。

「ピィピィ」

それは神の悪戯か、咲奈の心が砕ける寸前、咲奈の声に反応するかのように、物陰から小鳥が姿を現した。

「小鳥?……かわいいな」

咲奈は小鳥に笑いかけ、小鳥に話しかけた。

「一緒に来る?」

小鳥はその質問に対して、肯定の意を示すかのように差し出された手の上に乗った。

「それじゃ一緒に行こうか」

咲奈はそう言い、工場の探索を始めた。

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