第7話死の恐怖
私は山の中腹に差し掛かりそうな所で、やっと跡をつけてきていた気配に気が付いた。
「…だれ?」
私の跡をつけていた者に語りかけた瞬間
「カエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセ」
「!?」
その者は、ダムが決壊したかのような勢いで、今まで言わなかった分を一気に解放してきた。
「一体何!?」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!カエセ!カエセェェェェェェェェ!」
その女性の幽霊は、怒りに身を任せ私を殺そうと攻撃をしてきた。
「ちっ!」
その者は攻撃を避けた私にイラついたのか、声を荒らげ私の方へと向かってくる。
「くそっ!」
私も殺されたくはない為、全力で逃げるが奴は後ろから追ってくる為、山の上部へと追いやられて行った。
「なんで私が!初対面の人にいきなり追われなきゃ行けないの!」
私が、そう叫んでいると
「カエセカエセカエセカエセカエセェェェェコロスコロスコロスコロスコロスゥゥゥ!」
女も叫んだ───そう認識した時にはもう遅かった。
女は目の前に移動していた。
「っ!?うぐっ!」
私は疲れのせいか油断していたのかもしれない。
奴の強烈な一撃を許してしまった。
殴られた勢いのまま壁に激突してしまい、飛ばされた方にあった脇道へと転がって行った。
脇道にあった下り階段を転がり落ち、身体中の痛みに小さな悲鳴を上げた。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
私が痛みで蹲っていると奴はすぐ近くまで移動してきていた。
「ごめんね……咲奈」
私は終わりを悟り、妹への謝罪を言葉にした。
「本当にごめん……こんなあ───」
「ユビワ!」
私の声を遮るように、奴は大きな声を出した。
「ユビワ……ワタシノユビワ」
「ゆ……びわ?」
奴が手にしていたのは、私が田んぼに入った時に見つけ拾っていた指輪だった。
「……コレデアノヒトニカオヲアワセルコトガデキル」
奴は理解が出来ていない私を置き去りに、安堵の表情を浮かべ消えていった。
「な……何が?」
理解が追いついていない私の目にはさっきの女性と入れ替わりで出現した指輪を握った女性の死体が横たわっていた。
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