第2話 「部長」

 私の場合、死者の声を直接見聞きする場合と夢のお告げと2パターンある。その体験を20年以上日記に記録している。


「部長」

 大学卒業後、最初の就職先の上司であった藤田部長は、60歳で定年退職し、その半年後に脳梗塞で亡くなった。葬儀に参列したとき、面識があり気心が知れる方には棺や遺影に向かって心の中で、

「何か言いたいことがあればお越しください。ただし、怖くないように登場してください」と言うことにしている。

 葬儀の日、夢の中、職場の朝のお茶出しシーン。部長には毎朝コーヒーをお出ししていた。部長は椅子に腰かけ、いつものようにコーヒーを飲みながら、

「桜井君、お迎えはある日突然やってくるもんだな」

 ゴールデンウイークに家族でゴルフを楽しみ、帰宅後、夕食中に急に頭痛と吐き気に襲われ、救急搬送され緊急手術を行なったが、意識は戻らず一週間後に脳梗塞で亡くなられたと奥様が話されていた。なるほど、突然のことだったのだ。

 その後の夢の続きでは、部長は神社みたいな場所に多くの方々と歩いて行かれた。

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