1.0話 本格的に始まる殺し
〜シーンとした空気が車内に漂っている〜
雎が煙草をつけた。
「はぁ..マジで報酬減らされたら学費払えないなぁただせさえ金欠なのにさ」
運転している葵草の隣で呟いた。
それを聞いた葵草が、
「お前が煙草を辞めれば少しは金が残るんじゃないのか?....だいたいお前未成年だろ煙草を吸うな!!」
「お前捕まるぞ!!」
呆れた口調で雎は、
「人を殺してる時点で犯罪とか関係ないでしょ。」
「明日狙われて死ぬかもしれないんだから好きにさせてよ。てか煙草とか15才の時には吸ってたし...」
葵草:まじかよ
雎 :まじ
〜そんなこんなでいわゆるアジトのような所に着いた〜
少し都心から離れている潰れた小さい工場を買い取ってそこをアジトにしている。
想像の通り少し錆びていて古臭いが事務所は工場の高いところにあり眺めがいい。
と言うのは前置き、敵がいつ来ても殺せるように高く見晴らしのよく、地味で目立たないように少し改造してある。
<<あそこに帰るのかぁ>> と二人は呟く
雎と葵草は久しぶりに気があったようで少し気まづそうにしていた。
いつもは古臭く見えるが今日はちょっと不気味にも見える。
「うわまじかよ」 ((まぁ怒られるのはわかってるし逃げ場は無いからどっちみち行くんだけどな...))
葵草は心に決め、雎を連れてアジトに入っていった。
〜ミシミシと鳴る錆びた階段を登り事務所に入っていく〜
扉を開けると外の雰囲気とは全然違うモダンな感じの部屋になっている。
((外と中の差にまだ慣れないな...))
そんな事を葵草が言っていると目の前にはメガネをかけ、背の高くキリッとしている男が立っている。
そうこの人が電話で脅してきた眞仁(まひと)だ。
「眞仁さんマジで今回は許してください。どうせ殺すつもりだったんですよね?ならいいじゃないですか!!」
と葵草が珍しく謝っている。
そこに葵草は自分は逃れようと思ったのか後ろにいた雎に、
「もともとお前が俺の話を聞かないで殺したせいだ!!お前の報酬を減らすべきだ!!」
と、雎を売った。
すると眞仁が、
「これはお前らのした事だ。葵草が事前に話しておかないのも悪い。」
「お前らが殺したやつはある組織の捨て駒で、こいつから情報を吐き出すために生かしておく予定だった...」
「だか、お前らが殺したせいでまた最初に戻った。どうしてくれるんだ!!」
と電話の時より怒っては無いが、怒ってはいる。
すると奥の部屋から出てきた眞仁より背が少し低く髭の生えている男がでてきた。
この人が電話で笑っていた潤(まさる)だ。
潤は
「まぁその辺にしてやれよ。毎回してるんじゃないしさ、まぁこれから増えてきたらそれなりの対応もしていいんじゃないか??」
と少し不気味な笑みを浮かべた。
眞仁は、
「そういうことだ、次からするなよ。」
「すまないがもうひとつ話がある。今現在、殺しや詳しくはまだ話せないが今追いかけている組織が活発になってきている。」
「だから、いつ何が起きてもおかしくない状態まで来ている。だから急に呼び出したり、お前らが一緒に行動する事も増えるだろう。」
「そこでお前ら今は別々で暮らしているが一緒に住んで欲しい。家賃は払う。結構いいマンションに住める。悪い話じゃないだろう。」
「てことでもう契約もしてあるしそこに今日から住め。」
雎と葵草は驚きど絶望の顔をしていた。
葵草は、
「急すぎませんか!?俺らが仲悪いの知ってますよね?!」
それに続いて
「マジで言ってんの?」 と雎が言う。
すると眞仁は分かりきった表情をし、
「お前らに拒否権は無い。仕事の一つだ。受け入れろ。」
〈〈はい...〉〉
二人は諦めた。
こうして本格的に殺し屋として働く2人である。
そして雎は葵草の能力に気づく事になる。
これからある騒動が迫ってきている事に二人はまだ気づいていない。
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