第7話 新しい任務
「神威~、クーラー寒いよー」
「そうか。ちょっと温度上げるか」
「マジか。俺結構今でも暑いんだけど」
「もう9月なのにまだ暑いの?」
「萌花は寒いのか?」
「ガンガンに効かせるとちょっとだけ」
全員の微妙な感覚の違いを感じているとスマホの通知が鳴る。
「また任務が来たぞ」
「昨日エルヴの事片付けたばっかりなのに!?」
「本当。公安は人使いが荒いな」
「まあ、仕方無いだろ。最近は魔法を使った犯罪が増加傾向にあるからな」
「任務はどんな内容なんだ?」
「9月21日の武器取引の現場を押さえてほしいとさ」
「結構ヤバそうな任務だね」
「だからこそ俺達に回ってきたんだろうな」
「今日は9月7日だから……後13日しか無いじゃん」
「詳細はそれぞれに送るから、確認しといてくれ」
任務の詳細は9月21日の午前2時に足立区で正体不明の組織による武器の取引があるとのこと。
逮捕された男の記憶を読み取ることでその取引が判明した。
記憶を読み取られた男はその一連の記憶を消され、泳がされている。
精神魔法の存在が犯罪者たちの警戒心をより増長させている。
こちらも慎重に動かなければならない。
「この任務、午前2時にやるんだ。生活習慣壊れちゃうよ」
「それも考慮してこの報酬なんでしょ」
「まあそうだけど」
「正体不明の組織ってのがヤバそうだよな」
「人数もよく分かってないみたいだしね」
「よく計画練らねえとな」
「他の班は? 作戦に参加しないの?」
「ああ、今のところはな」
「神威、シミュレーションやらない?」
「最近やってなかったし、やるか」
俺達魔法師がシミュレーションと呼んでいるのは昔のVRゴーグルのようなものを着けて
電脳世界で戦闘等を行うことを指している。
感覚は電脳世界でも現実と全く変わり無く、服装や武器もそのままだ。
萌花が魔法で影の中にしまってある刀も電脳世界に持ち込めるようだ。
「今回はどこで戦うんだ?」
「普通にどこかの市街地で良いんじゃない?」
衛星の情報から登録されている場所を自由に選択し、そこで戦うことができる。
今回はどこかの市街地での戦闘にするようだ。
こちらは剣を構え、萌花は刀を構えた。
そして、お互い身体強化を発動して臨戦態勢だ。
まずは先手必勝と言わんばかりに萌花が斬りかかって来る。
かなり速いが動きが直線的だったため、簡単にガードできる。
電脳世界での体力や魔力の消費、そしてダメージは現実世界には全く影響しない。
電脳世界に入るというより、電脳世界の体に意識、その他色々を接続しているという感じの仕組みなのだろう。
意識を電脳世界に接続しているため、現実の俺と萌花の体はソファーに座ったままだ。
なので電脳世界に長時間居続けるのはあまりよくない。
俺は1戦終わったらすぐに現実に意識を戻すようにしている。
「全力で行くよ」
〖発動:風属性魔法 疾風〗
萌花の手から強烈な風が放たれる。
風とはいえ、人の皮膚など簡単に切れてしまうほどの威力だ。
【発動:光属性魔法 光壁】
こちらは光の壁で風を受け止めた。
「まあ無理だよね」
萌花が俺と刀を打ち合いながらそう呟く。
【発動:光属性魔法 光線】
光を操り、光線にして萌花へ放つ。
手をかざさずに魔法を使用しているが、これほど近ければ流石に外すことは無い。
〖発動:闇属性魔法 影操作〗
萌花と光線の間に実体化した影が割って入り、光線と相打ちになって消滅した。
「闇属性魔法が扱えないと神威の足元にも及ばなそうだね」
「今のは闇属性魔法があるからこその動きだろ。無くても何とかなりそうだけどな」
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