第4話 任務完了

 「くっ、逃げきれないか」

【発動:氷属性魔法 氷壁】

敵によって氷の壁が形成された。

このまま足止めして逃げるのか、それとも攻撃してくるのか。


 「攻撃は俺に任せとけ」

〖発動:火属性魔法 火炎〗


 氷を貫通し、炎がこちらへ襲いかかってくる。

「逃げ切れないと判断したらしいな」

【発動:光属性魔法 光壁】

光を操り、固めて作り出した光の壁によって炎が阻まれる。


 「氷に炎で穴を空けてくれたおかげで向こう側がよく見えるな」

【発動:光属性魔法 光線】

「ぐあっ!」

「速っ……い」


 超スピードの光線に貫かれ、敵の2人がダウンする。

後は天賜魔法の使える女1人だけだ。


 〖発動:闇属性魔法 影操作〗

「後は私に任せて」

萌花が魔法で影を実体化させ、自分を守りながら残った1人の方へ走っていく。


 「ちっ」

女がナイフを取り出し、攻撃してくる。

おそらくこの女が切り裂き殺人の犯人なのだろう。

こちらは刀を持ってるためリーチは上だが、相手の魔法の限界が見えていない。

影操作は自分を守ることを優先して使うべきだろう。


 〖発動:火属性魔法 火炎〗

刀の刃に炎を纏わせることで攻撃力を上げ、氷への特効性を得ることができる。

「火属性魔法が扱えるのか。それもかなりの発動速度。なかなかの実力だな!」

「だから私が攻めに来たんだよ」


 敵の右手に向かって刀を振るう。

人間の利き手は右手が約9割。魔法も基本、利き手で使う。

「させるかっ!」

【発動:氷属性魔法 凍結】

敵がかざした右手の魔方陣から放たれた冷気が一瞬で私を凍らせに来る。


 「無駄」

炎を纏った刀を一振り。

冷気もろとも、氷を焼却した。

「何だとっ! 早い、魔法の発動がっ……」

そのまま敵の腹部を刀で斬る。

敵はそのダメージに耐えかねて気絶した。


 敵が目を覚ます前にささっとリングを嵌める。

これで相手は戦闘不能。組織は壊滅。

任務は完了した。


 「今回の奴ら、あんまり大したこと無かったな」

「俺には萌花1人でも余裕で壊滅させられそうに見えたぜ」

「結果的にそうなっただけだよ。私1人だとさっきの女の魔法を知らない状態で戦わないといけなかったし」


 「俺から警察に連絡しとくから2人は彩夏と合流しといてくれ」

「了解」

「おう」


 「もしもし、もう終わったよ」

「結構早かったね。もう警察来てるから今からそっち合流するね」

「OK」


 「彩夏、もうこっち来るって」

「向こうも問題なく片付いたんだな。じゃあもう俺らの役目は終わったし、ゆっくり活動拠点に戻るとしようぜ」

「うん」






 「2人とも~」

「おお、彩夏、早かったな」

「うん、あの場で説明することも特に無かったなしね。あれ、神威はいないの?」

「神威はさっき追ってた奴らの所にまだ居ると思う」

「班のリーダーは大変だね」

「確かに。俺はぜってーやりたくねえな」

「私も」


 「神威が戻ってくるまでどうする?」

「私はちょっとコンビニ」

「俺は事件について調べる」

「彰にできるかな~?」

「しばくぞ彩夏」

「ふふっ」

「ふっ、あはは」

「ははは」

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