第3話 魔法での戦闘
萌花が先陣を切って、扉の奥へと駆けていく。
「誰だお前らは!」
中にいたエルヴの人間が反応し、こちらへ攻撃しようと手をかざす。
〖発動:闇属性魔法 影操作〗
萌花の体によって光が遮られ出来た影に水面のように波紋が発生し、その中心から刀が柄の方から顔を覗かせている。
萌花がその刀を手に取り、攻撃態勢を取る。
自分の影を媒体として、異次元空間にアクセスし、そこに物を収納する。
闇属性魔法の影操作。便利な魔法だ。
萌花はとにかく通常の魔法も発動が速い。
この状況でも瞬時に影に収納した刀を取り出した。
そして、取り出した刀で敵がかざしている手を切断する。
「ぐあああ!」
「何っ!」
魔法の使う時、手をかざすという行為は大きな意味を持つ。
魔法は手から発動するものが多く、その場合、手が銃口のようなものだと考えられる。
その手が無ければ魔法の指向性は著しく低下する。
手を使わない魔法は思考のリソースをより多く割かなければならないので近接戦闘での使用はあまり推奨されていない。
その場にいた2人は痛みに耐えきれず叫び声を上げる。
しかし、もう1人の男は萌花の刀を躱していた。
「めちゃくちゃやりやがってクソガキが」
『発動:火属性魔法 火炎』
刀を躱した男が手から炎を萌花へ向かって放つ。
「させるかよ」
【発動:光属性魔法
萌花と炎の間に光の壁を展開し、攻撃を防ぐ。
「なっ」
「ありがと神威」
萌花が刀でもう1人の男を斬り、この場を制圧した。
「とりあえずこれでここは全部っぽい。でも相手はかなり戦いなれてる感じだった。一瞬で終わったけど奥には絶対行かせないようにしてた」
「ということは、残りの仲間は逃げたみたいだな。彩夏は精神操作で気絶したこいつらの記憶を確認してくれ」
「OK」
「それじゃ、私たちは追いかけに行こ」
「ああ、そうだな」
「彩夏、後は任せたぞ。仲間の素性が判明したらすぐ連絡してくれ」
「うん」
「まずはリングで無力化無力化っと」
倒れている3人の男にリングを嵌めていく。
「後は警察来るまでに記憶覗いて神威に連絡して待機かな」
〖発動:属性外魔法 治癒〗
彩夏にあの場を任せ、3人で逃げたエルヴのメンバーを追跡する。
「あいつらどこ行ったんだよー」
「左」
萌花が迷い無く左へ路地を曲がり、彰と2人でそれへついていく。
「何で左だという確信を持ってるんだ?」
「左回りの法則。知らないなら後で調べてみて」
「左回りの法則? 聞いたことねえな。神威は知ってるか?」
「後で調べろ」
「はい……」
路地を抜けしばらく萌花についていくと、遠くにこちらに背を向け走る3人の人影が見えた。
あいつらがおそらくエルヴのメンバーだろう。
「あいつらも身体強化は使えるようだが、出力はこちらの方が上だな。問題なく追いつける」
ポケットのスマホが電話が来たことを伝える通知音を鳴らす。
普段、任務中は音を消しているが、さっき移動を始める時に彩夏からの連絡に気づけるように音を出す設定に切り替えておいたのだ。
今のスマホは進化していて、わざわざ画面を触って操作せずとも持っている者の脳波を読み取り動いてくれる。
「もしもし、彩夏か」
「エルヴ残りのメンバーは残り3人。2人は男、1人は女。天賜魔法は女だけが使えて、その魔法は氷属性魔法みたい」
「了解、後は俺たちに任せてくれ」
「OK、頼んだよ」
電話を切り、追跡に意識を集中させる。
「3人の内、1人が女でその女だけが天賜魔法を使える。そしてその魔法は氷属性魔法らしい」
「やっぱり彩夏の魔法は優秀だよなあ」
「おそらくそれが謎の女なのかな」
「ああ、気を引き締めるぞ。できるだけ被害の無いようにな」
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