第2話 作戦実行
通常の魔法は〖〗 天賜魔法は【】で表示しています。
今はエルヴ壊滅の任務を受けることを上に伝え、連絡を待っているところだ。
「こんなちっせえ組織、俺らじゃなくても別にいいだろ。なんで公安は振ってきたんだろうな」
「他に空いてる班が無かったんじゃない?」
「最近魔法が関わる事件も増えてきてるし、そうだったとしても納得だな」
スマホの通知音が鳴った。
公安からエルヴに関する情報が届いたのだろう。
公安や3人との話し合いの結果、明日の午後2時に作戦を決行することになった。
入念に4人で作成会議をして明日に備える。
「誰か1人出てくるまで待つっていうのはどうなんだ?」
「この場所は地裏で道が2つに別れてるからどっちも見張るには戦力を分散させないといけない。それに彩夏は1人しかいないから50%の確率で裏目に出る」
「作戦立てるのは俺には無理そうだな」
「うん」
「ちょっとは否定してくれよ萌花」
色々あったが、4人の知恵を絞り出して(8割萌花の知恵だが)作戦は立てることができた。
「明日のためにも今日はゆっくり休めよ。それじゃまた明日」
今日は作戦決行の日だ。
「イラッシャイマセ、ゴチュウモンヲオウカガイシマス」
「おすすめは?」
「ハンバーグセットデス」
「じゃあそれで」
「俺は日替わりランチで」
萌花と2人でファミレスで昼食を食べながら会話する。
「萌花ってハンバーグ好きなのか?」
「おすすめにあるから食べてるだけ」
「萌花、今日の作戦での懸念すべき点はやっぱりこいつだよな」
「正体不明の女。年齢、職業、天賜魔法全てが不明」
「どんな魔法を持ってるか分からないのが1番厄介なんだよな」
「天賜魔法には普通の魔法と違って規格外の魔法もあるから1番警戒しないといけないね」
神威が食べ終わって10分ほど経過し、萌花がやっと料理を食べ終わった。
「ごめん、食べるの遅くて」
萌花は戦闘以外はかなり不器用で、箸の持ち方が少し変だ。
食べるのが遅いのはそれが原因なのだろう。
これはあまり深く詮索すべきことではないと神威も心得ている。特に作戦目前に控えているが今のような状況では。
「別に、そんなこと気にすんなよ。俺が奢るから先待ち合わせ場所行っとけ」
「いいの? ありがとう」
「誘ったの俺だし」
神威は少し遅れて待ち合わせ場所に着く。たった1~2分ほどの遅れだ。
現在、現金は日本にほとんど存在していない。
既に電子マネー決済が当たり前な世の中になっている。
体に埋め込まれたマイクロチップでの決済が多数派で、スマホでの決済はそこまで多くない。
しかし魔法師の場合は体にダメージを負うことが比較的多く、マイクロチップもそれに巻き込まれて壊れる可能性がある。
その度に体に入れていては大変なので神威もスマホ決済派だ。
会計が一瞬で終わるので現金のように時間をかける必要は無い。
この1~2分の遅れは会計によるものではなく、途中の自販機で飲み物を買ったことによる影響の方が大きいだろう。
「神威~。待ってたよ」
「それじゃ行くか」
問題のエルヴの拠点付近へ到着した。
このいかにもな路地に拠点があるようだ。
「近くに探知系の魔法持ちがいたら厄介だからこの辺りで確認してみよう」
しばらく張っていると、長身の男が拠点と思われる場所から出てきた。
「あいつ、エルヴの関係者かな」
「そうじゃねえか?」
「それ、見た目での偏見9割でしょ」
「彩夏、魔法で記憶確認できそうか?」
「ちょっと待って。私はもうちょっと様子を見た方がいいと思う。まだ拠点に近いし」
ある程度、拠点から距離が離れた時、相手が気づかないうちに彩夏が仕掛ける。
男に彩夏が手を触れ、魔法を発動する。
彼女の天賜魔法は精神魔法、手で触れた対象を洗脳したり記憶を
属性外魔法とは属性魔法のどの属性にも当てはまらない魔法の事を言う。
天賜魔法には属性外魔法が結構多い。
彩夏は天賜魔法が無くてもある程度なら人の表情や仕草などを見て、考えや発言の真偽が分かるらしい。これは魔法由来のものではなく、彩夏の天性の才能なのだろう。
【発動:精神魔法 洗脳】
男は精神操作によって洗脳され、動きを止めた。
「それじゃ、魔法抑制しとこっか」
魔力抑制リング。
対象の首に嵌めると魔力が乱され操作が不可になり、魔法どころか身体強化すらできなくなる。
「このまま記憶確認するね」
【発動:精神魔法 記憶閲覧】
「彩夏の魔法はこういう時最強だよな」
「触られた時点で終わりだからね」
彩夏は天賜魔法が戦闘向きではないため、直接戦闘は苦手としているが、こういう時に彩夏の魔法は真価を発揮する。
とはいえ、彩夏には底無しの魔力があるので戦闘は苦手だが、弱いわけではない。
「ある程度記憶を読み取ったけど、こいつはエルヴの一員で間違いなさそうだよ」
「ならこいつは後で警察に任せるとしよう」
「謎の女について何か情報あったか?」
「ううん、何も無かった。謎の女はかなり警戒心が強いみたい」
「じゃあもう突っ込んじまおうぜ」
「これ以上何も掴めなさそうだし、奇襲するのが最適解かも」
「じゃあ、全員で乗り込むか」
萌花が拠点の扉の前に立つ。
彼女の体から紫色の魔力の光が溢れ出る。
魔力を体に巡らせることで、身体能力、治癒力を強化する身体強化だ。
身体強化は魔法ではなく、ただ魔力を体に流すだけなので神威でも使うことができる。
「いくよ」
そう言うと、萌花が扉へ手をかざし、魔法を発動する。
〖発動:風属性魔法 疾風〗
彼女の手から放たれた風が扉を破壊し、部屋の中の物を吹き飛ばす。
本格的に作戦が動き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます