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同じ文章が繰り返し掲載されていたようですので、修正しました。
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なんかめちゃくちゃでかいオオカミが、上野さんに殴りかかろうと?していたところに、ギリギリで体当たりをかまして攻撃を阻止することができた。
とは言え、腕をちょこっと弾いただけなので、まだまだ危険な状態に変わりはないんだけど。
「とりあえず、無事で良かったですよ。上野さん」
「ま、護?どうして、こ、こんなところに?」
「どうしてって、助けに来たからに決まってるじゃないですか」
「う、あ、ば、バカ!バカバカバカ!なんでアタシなんかを助けに来たの!」
「ああ、そういうのは後で聞きますから、とりあえずまだ元気だったら、うちの相棒助けてもらっても良いですか?」
「え?相棒?」
俺が来た道を指差すと、上野さんはそちらに視線を向ける。そこはまさに、地獄だった。
「「「「「「アオオオオオオオオォン!」」」」」」
「ちょ~護くんムリムリこの数はいくらなんでも相手できないって~!」
時間が無いからって、全ての戦闘を『にげる』のコマンドで回避してきたつもりだったんだけど、なぜか全部追いかけて来ちゃったんだよね?逃げた後までリンクして追いかけてくるなよ!
その数は、たぶん3桁はいってないと思いたい。
向こうには鈴木さん(仮)や久賀くんたちもいるけど、さすがに多勢に無勢ってヤツだよね。
「で、でも。こいつの相手を護1人でなんてムリだよ!」
「あ、はい」
それはそう。こんなクソでかいオオカミの相手なんてムリに決まってます。もの○け姫のオオカミだってもう少し小さかったよ?
それに、これはこの前戦った10階のボスよりも遙かに強いよなぁ。
本当は俺と小雪、鈴木さん(仮)の3人でこいつの足止めをしている間に、久賀くんと甘楽さんに2人の救助をしてもらう予定だったんだけど。
「まあ、ムリそうならそこで休んでいてください。あっちの戦闘が終わるくらいまでなら、俺1人で時間稼ぎくらいできますんで」
「ちょっとおおおおおおぉ!これどうすんのおおおおおぉ!」
護くんのバカ!相棒の私をほっぽり出して、とっととお姫様を助けに行っちゃうなんてあり得ないでしょ?いや、まあ、上野さんたちを助けに来たんだから、ピンチのところに駆けつけるのは当然なんだけど、いまいち釈然としないよね。
「はぁ・・・はぁ・・・、大丈夫だ、1階の魔獣相手なら、僕たちでも倒すことができる」
「うぇっぷ・・・・・・でもでもでも、体力的に辛いかもしれないにゃ~」
なんかムカつく男子と甘楽さんは必死に剣を振っているけど、体力的には限界が近い。もういっそ、あの男子をエサにしてどこか遠くへ放り出したらそっちに行ってくれないかな?
「うおおおおおおぉ!はあああああぁ!」
鈴木さんって内閣府の人は大剣を振り回しながら大量のオオカミを屠っている。このままなら、あの人1人で殲滅できちゃいそうだから、私も護くんのところに行っても良いかなぁ?
「ウオン!」
「ってい!」
飛びかかってくるオオカミの脳天に向かって、魔杖を叩きつける。たったこれだけで命を奪ってしまえるようになったんだから、私もかなり強くなってしまった。
こんな、なにかの命を奪う力なんて欲しくなかったのに。
「ユキユキ~。そろそろ魔法ででかいのおねしゃす!」
「・・・・・・はぁ」
片目をつむって舌を出しながらそう言った甘楽さんを見て、小さくため息を吐いてしまう。確かに、彼女たちはそろそろ限界だろう。いつオオカミの群れに飲み込まれてもおかしくなさそうだ。
生き物相手にこの魔法を使うのは初めてだけど、仕方ないよね。本当は一番最初に護くんに見せたかったんだけどなぁ。
「魔法の準備をしますから、皆さん30秒だけ稼いでください」
「わかった」
「りょ~」
「了解しました!」
深く、深く、腹の底まで空気を吸い、意識を切り替える。
私は・・・・・・いや、我こそは!
「グオオオオオオオオオォン!」
「っシールドバッシュ!」
オオカミの攻撃が盾にぶつかる瞬間に、スキルを発動して攻撃を弾き返す。インパクトの瞬間に腕が吹き飛びそうなほどの圧力がかかるが、それをスキルの力を使ってどうにかって感じだ。
ノックバックもほとんど入らないし、ダメージだってまともに通ってるのかわからない。
ただ、集中さえ切らさなければ抑えておけない相手じゃなさそうだ。これなら、小雪たちがオオカミ(小)を倒しきるまで耐えられるか?
「ガオオオォン!」
「うっそだろ!」
オオカミは1つ吠えると、その口に炎を生み出しははじめた。なんだこれ、炎のブレスでも撃つってのか?そんなんもうドラゴンだろくそったれ!
「上野さん!」
「ふぇ?」
ブレスの攻撃範囲がどの程度かわからない。下手すると上野さんが丸焦げになるかもしれないと思い、慌てて彼女の体を抱え込んで大盾を構える。
「リフレクター!」
魔法攻撃を反射するスキル、リフレクター。原理がどうなってるのかはわからないけど、スキルを発動した直後に盾に触れた魔法をはじくスキルだ。
カウンターと違って威力を上乗せして相手に攻撃をするわけではなく、魔法攻撃をどこかへ弾き飛ばすだけなのが微妙なところだ。
「ま、護、大丈夫なの?」
「いや、微妙です」
リフレクターの効果は永遠じゃない。本来盾に魔法がぶつかったときにだけ発動するスキルだ。ブレスみたいに長時間魔法攻撃が続くものだと、ぐんぐん霊力を消耗してしまう。
「ブレスから脱出します。しっかり捕まっててください」
「へ?きゃああああぁ!」
盾を構えたまま、肩に上野さんを担ぎ直して跳躍する。
ステータスが上昇したせいで、人1人肩に担ぎながら5mくらいなら余裕で垂直跳びができるようになってしまった。これ、まだ人間だよね?
「よっと」
「ギャイン!」
オオカミの頭で一度着地を決め、そこからもう一度ジャンプして背後に回る。慌てた様子でぐるりと回るオオカミを見て、もう一度跳躍して今度は背中へ降り立ち、さらに背後をとる。
「ウウウォオオオオオオオオオオン!」
「ぅあっつぅ!」
これ延々と続けてれば、十分時間稼ぎできるんじゃね?と思ったら、今度は全身に炎を纏いはじめた。もう完全に炎タイプの魔獣だよ。見た目から一瞬フェンリルかと思ったけど、全然違う生物だった。外見詐欺だよまったくもう!
「ねえ、ま、護?その、ね?そろそろ、下ろして欲しいんだけど」
「あ、すいません。でも、まだ下ろすには早いと思いますよっと」
全身から噴き出した炎を、自分の手足のように自在に操って攻撃を繰り出してきた。
振り下ろし、薙ぎ払い、突き。
そのどれもが俺たちを殺しに来ている、必殺の一撃だ。とてもじゃないけど上野さんをほっぽり出して戦うわけにはいかない。いきなり上野さんを狙われたら、俺の隙になりかねないもんな。
「ふあ~はっはっはっはっは!我が深淵なる業火の前に焼き尽くされるが良い!」
「もう敵いない、もう敵いないよユキユキ~!落ち着いて~!」
「む?我はユキユキではない!第3魔界の界王にして獄炎の守護天使、ヴォルテーリア・ムーンナイト・ヘルフレアである!」
あっちは、もう敵の殲滅が終わったのか。いや、界王にして獄炎の守護天使様がご光臨なされているから、もう少し時間がかかるかもしれないか?
「ひかり!良かった、無事だったか」
「・・・・・・久賀くん」
喜びと安堵の表情を浮かべる久賀くんに対して、上野さんは気まずそうに視線をそらした。
後方ではオオカミが業火を操り暴れ回り、前方では業火の守護天使様が漆黒の焔をまき散らして高笑いしている。
いつまでも上野さんを抱えたままってわけにもいかないから、彼に上野さんを任せよう。
「久賀くん、受け取って~!」
「は?な、何をだ?」
「ま、護うううううぅ!」
俺と久賀くんの間には10mはあろうかという距離があったので、優しくソフトに上野さんの体を放り投げた。
「いやあああああぁ!」
「ぎへぇ」
なんかカエルが潰れたような音がしたけど大丈夫だよな?
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